第100回薬剤師国家試験

◆問214-215

36歳女性。常に下腹部が張っていて、排便回数は3~4日に一度であり、排便後もすっきりしない。最近は顔に吹き出物ができ、なかなか治らないため来局した。薬剤師と相談し、大黄甘草湯を購入することとなった。

◆ 問214


◆ 問215

大黄甘草湯に含有されるセンノシドA及びその誘導体に関連する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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  • センノシドAは、トリテルペンの一種である。
  • 化合物A〜Cは腸内細菌が産生する酵素によって生成される。
  • 炭素aの絶対配置はSである。
  • 化合物Cは、化合物Bの酸化的開裂によって生じる。
  • 大黄甘草湯が示す瀉下作用の活性本体は化合物Cである。

◆ 問214

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


顧客が購入した漢方薬である大黄甘草湯(構成生薬:ダイオウ、カンゾウ)は、便秘薬として用いられる。


大黄甘草湯は緩下作用を有するため、販売するにあたり同じような薬効を有する薬物を使用していないか確認する必要がある。


大黄甘草湯に含まれているダイオウは、子宮収縮作用及び骨盤内臓器の充血作用を有するため、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。


適度な運動を行うことで、大腸の動きが活発になり便秘症を改善することができるため、適度な運動を行うように指導することは適切である。


大黄甘草湯を使用しても症状の改善が認められない場合には、継続投与を避け受診するように説明する必要がある。


大黄甘草湯に含まれているカンゾウは、副作用として、偽アルドステロン症やミオパチーを引き起こすことがある。そのため、本剤服用中に脱力感や筋肉痛が現れた場合には、服用を中止するなど適切な処置を行う必要がある。

◆ 問215

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


センノシドAは、アントロンが2分子からなるビアンスロン配糖体の一種である。


センノシドAにヒト腸内細菌β−グルコシダーゼが働き、化合物A、化合物Bが生じ、さらにヒト腸内細菌NADH−フラビン還元酵素が働き化合物Cを生じる。
・化合物A:セニジン−8−モノグルコシド
・化合物B:セニジンA
・化合物C:レインアンスロン


下図より、H(優先順位4)を奥にして、優先順位の順番が右回りであることから、炭素aの絶対配置はRである。
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化合物Cは、化合物Bにヒト腸内細菌NADH−フラビン還元酵素が働き還元されることにより生じる。