第100回薬剤師国家試験

◆問254-255

64歳男性。不安定狭心症のため、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)を受けた。その後の治療薬として新たに以下の薬剤が処方された。
100回問254-255画像1

◆ 問254

処方された薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 処方された用量のアスピリンは、血管内皮細胞のプロスタグランジンI2生成よりも、血小板のトロンボキサンA2生成をより強く阻害する。
  • アスピリンは、ロスバスタチンによる筋肉痛を緩和する目的で処方されている。
  • チクロピジンの活性代謝物が遮断するADPのP2Y12受容体は、Gqタンパク質共役型受容体である。
  • チクロピジンの副作用として、血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症及び重篤な肝障害がある。
  • ロスバスタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA(HMG-CoA)の生合成を阻害し、血清中の低比重リポタンパク質(LDL)量を減少させる。

◆ 問255


◆ 問254

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


アスピリンは低用量で用いた場合と高用量で用いた場合で、作用の現れ方が異なる。
・アスピリンを低用量(100〜300 mg/日)で用いた場合
血小板のシクロオキシゲナーゼが不可逆的に阻害され、血小板内のトロンボキサンA2生成が強く阻害されるため、血小板凝集抑制作用が現れる。
・アスピリンを高用量(300 mg/日以上)で用いた場合
血小板のシクロオキシゲナーゼに加え、血管内皮細胞のシクロオキシゲナーゼも阻害され、血管内皮細胞のプロスタグランジンI2の生成も阻害されるため、血小板凝集抑制作用が低下する。


アスピリンは、PCIにより挿入されたステント周辺の血栓形成を抑制する目的で処方されている。


チクロピジンの活性代謝物が遮断するADPのP2Y12受容体は、Giタンパク質共役型受容体である。


チクロピジンは重大な副作用として、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症及び重篤な肝障害を起こすことがある。


ロスバスタチンは、HMG-CoA還元酵素を阻害し、肝臓におけるコレステロールの生合成を阻害することにより肝細胞膜LDL受容体数を増加させる。その結果、血清LDLの肝への取込みが促進され、血清LDLが減少する。

◆ 問255

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


アスピリン腸溶錠は、PCIにより挿入されたステント周辺の血栓形成を抑制する目的で処方されているため、術後、長期間服用する必要がある。


チクロピジン塩酸塩錠には、血小板を固まりにくくする作用がある。


チクロピジンは重大な副作用として、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症及び重篤な肝障害を起こすことがあるため、投与開始後2ヶ月間は2週間に1回血液検査を実施することとなっている。


本処方服用中に筋肉痛や脱力感がみられた場合は、ロスバスタチンの副作用である横紋筋融解症が発現した可能性があるため、直ちに受診する必要がある。


本処方服用中は、出血しやすくなるため、歯肉や鼻などからの出血があれば受診する必要がある。