第100回薬剤師国家試験

◆問280-281

70歳男性。同居している家族がインフルエンザを発症したので、予防のために近医を受診したところ以下の処方が出された。
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◆ 問280

本吸入剤の予防投与に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • ザナミビル水和物の用法・用量は、治療に用いる場合と異なる。
  • 感染者と接触後3日目に投与を開始する。
  • 投与後異常行動の発現のおそれはない。
  • A型およびB型インフルエンザの予防に効果がある。
  • ザナミビル水和物の予防効果は吸入中止後も長期に持続する。

◆ 問281


◆ 問280

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


本剤は、インフルエンザウイルス感染症の予防に用いる場合と治療に用いる場合で用法・用量が異なる。
・治療に用いる場合
2ブリスターを、1日2回、5日間投与
・予防に用いる場合
2ブリスターを、1日1回、10日間投与


本剤をインフルエンザウイルス感染症の予防に用いる際は、感染者と接触後1.5日以内に投与を開始する。


因果関係は不明であるが、本剤の使用後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。


本剤は、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療又はその予防に効果を示す。


本剤の予防効果は、投与している期間のみ持続する。

◆ 問281

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


本剤の有効成分であるザナミビルの粒子径は小さく(ほとんどが5 µm以下)、付着凝集性が高いため、そのままの状態だと薬物粒子同士が凝集してしまう。それを防ぐために、粒子径が増大させる目的で乳糖粒子が添加されている。


本剤に含まれている薬物粒子は、吸入時に効率よく気道に到達する空気力学径である1〜5 µm前後の粒子径に設計されている。なお、粒子径が20 µm前後のものは、主に口腔や咽頭に付着するため、本剤の目的部位である気道まで到達する薬剤量が少なくなる。


吸湿による流動性の低下を防止するために、本剤には防湿性の包装(両面アルミニウムのブリスター包装)が施されている。


本剤は、吸入時に二次粒子(薬物粒子に乳糖を付着させた状態)から一次粒子(乳糖が離れた薬物粒子のみの状態)を形成するように設計されている。