第100回薬剤師国家試験

◆問294-295

84歳女性。女性の家族が近所の保険薬局に処方せんを持参した。最近になって女性の記銘力低下(物忘れ)が気になり、脳神経外科を受診したとのことであった。医師により軽度のアルツハイマー型認知症と診断され、今回が初回投薬となった。その処方内容は次の通りであった。
100回問294-295画像1

◆ 問294


◆ 問295

アルツハイマー型認知症の病因・病態として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 脳内コリン作動性神経系の著しい亢進を認める。
  • 前頭葉を中心として全般的脳萎縮を認める。
  • アミロイドβオリゴマーが、神経細胞周囲に蓄積する。
  • 大脳皮質を中心に、老人斑と神経原線維変化を認める。
  • 中核症状として徘徊がある。

◆ 問294

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


本患者に対して、ドネペジル塩酸塩錠が初めて処方されていることから、ドネペジル塩酸塩錠を3 mgから開始することについて疑義照会する必要がある。ドネペジル塩酸塩錠の用法・用量について以下に示す。
<ドネペジル塩酸塩錠の用法・用量>
「通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3 mgから開始し、1~2週間後に5 mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5 mgで4週間以上経過後、10 mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。」


ドネペジル塩酸塩錠とレバミピド錠を併用することは可能である。


ドネペジル塩酸塩の副作用である消化性潰瘍を軽減することを目的としてレバミピドが処方されていると考えられる。

◆ 問295

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


本疾患では脳内コリン作動性神経系の著しい低下を認める。


本疾患では海馬や側頭葉を中心として全般的脳萎縮を認める。


アミロイドβオリゴマーとは、神経細胞膜に存在するタンパク質が、β及びγセクレターゼにより分解され産生されるタンパク質のことであり、本疾患ではアミロイドβオリゴマーが、神経細胞周囲に蓄積する。


本疾患では、大脳皮質を中心に、老人斑とタウタンパクのリン酸化により生じる神経原線維変化を認める。


アルツハイマー型認知症の症状は、中核症状と周辺症状に分類される。
・中核症状:脳の障害により引き起こされる症状(記憶障害、見当識障害、失語など)
・周辺症状:中核症状に付随して引き起こされる症状(幻覚・妄想、抑うつ、徘徊など)