第100回薬剤師国家試験

◆問322-323

30歳女性。片頭痛のためリザトリプタン安息香酸塩錠(以下「薬剤1」とする)が処方され、保険薬局を訪れた。この女性の姉(32歳)も昨年より片頭痛のため、当薬局からクリアミン配合錠A1.0(以下「薬剤2」とする)の投薬を受けている。今日は付き添いで一緒に来局した
注)薬剤2:エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン配合錠

◆ 問322


◆ 問323

これらの2つの薬剤の効果と費用はいずれも異なっている。薬剤師は、エルゴタミンを含む配合剤に対するリザトリプタン安息香酸塩錠の費用対効果を評価した資料を調べた。この資料では、質調整生存年(QALY)を用いた効果の期待値と費用の期待値から増分費用効果比が算出されていた。この薬剤経済分析の手法として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 費用最小化分析
  • 費用効果分析
  • 費用効用分析
  • 費用便益分析
  • 費用感度分析

◆ 問322

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


薬剤1(リザトリプタン安息香酸塩錠)は、片頭痛を予防するために定期的に服用する薬剤ではない。なお、薬剤1は片頭痛発作時に服用する。


薬剤1(リザトリプタン安息香酸塩錠)には、服用しても効果が不十分な場合には、前回の投与から2時間以上間隔をあければ、追加投与することが可能である。


薬剤2(クリアミン配合錠A1.0)は、片頭痛の予兆や前兆が現れたときに1日2〜3回服用する。


薬剤2(クリアミン配合錠A1.0)には、エルゴタミン酒石酸塩が含まれているため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与禁忌である。


処方された医薬品については、処方された本人のみ服用することが可能である。

◆ 問323

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


薬物経済分析の手法の概略を以下に示す。

・費用最小化分析
治療のために要する費用のみを比較して、費用が最小となる治療法はどれかを分析する方法である。

・費用効果分析
死亡率、治癒率、獲得生存率などの治療効果を数値化し、それらの費用対効果を分析する方法である。

・費用効用分析
治療効果の期待値を質調整生存年(QALY:生存年数にQOLを数値化した効用値をかけ算したもの)を用いて表し、その費用対効果を分析する方法

・費用便益分析
治療効果をすべて金銭価値に置き換えて分析する方法である。