第100回薬剤師国家試験

◆ 問99

液体クロマトグラフィーを用いた鏡像異性体の分離法には、キラル固定相法、キラル移動相法、ジアステレオマー誘導体化法がある。各法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • キラル移動相法では分析対象物に対する対掌体を移動相溶液に添加してエナンチオマー分離を行う。
  • ジアステレオマー誘導体化法は、誘導体化により通常の分配クロマトグラフィーで分離することを目的とする。
  • あるラセミ混合物を分離したとき、異性体間のピークの分離度(RS)は1.2であった。このとき、2つのピークは完全分離しているといえる。
  • キラルカラムに固定化される光学活性な高分子として、多糖類誘導体やタンパク質が広く用いられている。

◆ 問99

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


キラル移動相法は、キラルセレクター(シクロデキストリンやキラルクラウンエーテルなど)を移動相に添加する方法であり、エナンチオマー間でのキラルセレクターとの複合体形成能の違いにより、エナンチオマーの分離を行う。


ジアステレオマー誘導体化法は、エナンチオマーをジアステレオマーに誘導体化することにより分離する方法である。ジアステレオマー間では、物理化学的性質が異なるため、エナンチオマーをジアステレオマーに誘導体化することにより通常の分配クロマトグラフィーで分離することが可能となる。


日本薬局方一般試験法において、ピークの分離度(RS)が1.5以上を示す場合、2つのピークは完全に分離しているとみなしてよいと定義されている。よって、異性体間のピークの分離度(RS)が1.2であるとき、2つのピークは完全分離しているとはいえない。


キラル固定相法では、キラルセレクター(多糖類誘導体やタンパク質)を固定相担体の表面に固定し、エナンチオマー間でのキラルセレクターとの複合体形成能の違いにより、エナンチオマーの分離を行う。