第101回薬剤師国家試験

◆ 問180

EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果の説明として、正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 腫瘍組織で活性の高い酵素によって薬物が代謝活性化を受け、腫瘍組織特異的に効果が発現する。
  • 腫瘍組織特異的なトランスポーターの利用により、薬物の腫瘍組織への移行性と滞留性が向上する。
  • 薬物を含む微粒子がマクロファージに貪食され、薬物が長時間血液中に滞留する。
  • アンギオテンシンⅡの併用投与により、腫瘍組織の血管透過性が選択的に上昇し、薬物の移行性が向上する。
  • 腫瘍組織では、通常組織と比較して毛細血管の透過性が亢進し、リンパ管が未発達なので、薬物を含む微粒子の腫瘍組織への移行性と滞留性が向上する。

◆ 問180

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


1 誤

カペシタビンやドキシフルリジンに関する記述である。カペシタビンやドキシフルリジンは、それ自体に活性はないが、腫瘍組織で活性化され、腫瘍組織特異的に効果を発現する。

2 誤

18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)に関する記述である。18F-FDGは、18Fにグルコースを添加することでグルコーストランスポーターによって腫瘍組織に取り込まれることを利用して、腫瘍組織への移行性と滞留性が向上している。

3 誤

薬物を含む微粒子がマクロファージに貪食されると、薬物が血液中に滞留する時間が短縮する。

4 誤

昇圧化学療法に関する記述である。抗がん剤とアンギオテンシンⅡを併用すると、アンギオテンシンⅡが選択的に腫瘍組織の血管透過性を亢進させるため、抗がん剤の組織移行性が増大する。

5 正

腫瘍組織などの異常組織では、血管内皮細胞の間隙が大きいので、正常な血管では透過しないような大きな物質が多く透過する。また、腫瘍組織ではリンパ管が未発達であり細胞内の粒子や高分子はリンパ管を介して排出されにくく腫瘍組織に滞留しやすい。このような現象をEPR効果という。