第101回薬剤師国家試験

◆問208-209

72歳男性。いつもは21時頃に床に入り、夜間に1~2回トイレに起きることはあるが、眠れていた。1週間前より寝つきが悪くなり、内科を受診した。以下の処方箋が出され、保険薬局に持参した。併用薬はなく、肝機能、腎機能に異常はない。この薬剤を服用するのは初めてである。
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◆ 問208


◆ 問209

ゾルピデム酒石酸塩に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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  • 窒素原子アはsp3混成軌道をもつ。
  • 破線で囲んだ環は芳香族性をもつ。
  • 窒素原子イは、3つの窒素原子のうち最も塩基性が高い。
  • 酒石酸の立体異性体は、図に示したものを含めて4つある。
  • この酒石酸は、(2R,3R)の立体配置を有する。

◆ 問208

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2、3、4、5


1 正or誤

薬剤師の判断で服用中止について説明することは不適切である。ただ、「眠れるようになれば、服用を中止しても問題ない」との意図が医師にある場合については、この指導内容も間違いとはいえない。よって、問題の条件が不足していることから、本設問は正とも誤ともとることができる。

2 誤

飲酒により、ゾルピデムの中枢抑制作用が増強することがある。そのため、就寝前の飲酒を控えるように説明する必要がある。

3 誤

薬剤師の判断で用法、用量を変更することは不適切である。

4 正

ゾルピデムはCYP3A4で代謝されることから、グレープフルーツジュースにより血中濃度が上昇することがある。そのため、グレープフルーツジュースを飲むのを控えるように説明する必要がある。

5 正

カフェインは中枢興奮作用を有するため、カフェインを夕方以降に摂取すると本剤の作用が減弱する恐れがある。そのため、カフェイン(コーヒー、紅茶など)の摂取は、夕方以降は控えるように説明する必要がある。

◆ 問209

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


1 誤

窒素原子アはsp2混成軌道をもつ。

2 正

破線で囲んだ環は、イミダゾール環とピリジン環が縮合したイミダゾピリジン環であり、10π電子系の芳香族性を示す。

3 誤

窒素原子イのローンペア芳香属性に寄与しており、p軌道に収容されているため、塩基性を示さない。
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4 誤
一般に構造中に不斉炭素が2つ存在すれば、立体異性体が4つ存在するが、酒石酸は立体異性体の中にメソ体が存在するため、その立体異性体の数は3つである。
5 正
この酒石酸は、(2R,3R)の立体配置を有する。
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