第101回薬剤師国家試験

◆問230-231

少年スポーツクラブの懇親会のバーベキューで、大人3名、子供10名が鶏肉を焼いて食べた。その3日後に、この懇親会に参加した者のうち、子供4名が発熱及び下痢を伴う腹痛を発症した。患児の全員が近医を受診し、点滴静注などの治療を受けた。その後、この食中毒の原因はカンピロバクターと同定された。

◆ 問230


◆ 問231

カンピロバクターによる食中毒に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • カンピロバクターは鳥類等の腸管に常在し、鶏肉を汚染しやすい。
  • 野生生物により汚染された環境水を飲むことにより発症することがある。
  • 牛レバーの生食により発症することがある。
  • カンピロバクターは乾燥に弱いため、殻の表面が乾燥している鶏卵の生食による発症のリスクは低い。
  • 再興感染症の1つに位置づけられている。

◆ 問230

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


1 誤

下痢が続いている間は、脱水症状になる可能性があるため、糖分や電解質を含むスポーツ飲料などを適度に摂取する必要がある。

2 正

下痢止めを使用すると、腸内のカンピロバクターの排出が抑制されるため、下痢が続いても下痢止めは使用しない。

3 誤

鶏肉の内部にも菌は存在するため、鶏肉の調理過程で内部まで十分加熱する必要がある。

4 正

カンピロバクターによる二次汚染を防止するため、鶏肉を取扱った手を洗ってから、他の食品を取扱うようにする必要がある。

5 誤

冷凍してもカンピロバクターを完全に死滅させることはできない。

◆ 問231

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


1 正しい

カンピロバクターはトリの腸管に常在しており、鶏肉を汚染しやすい。

2 正しい

野生生物により汚染された環境水を消毒せずに飲むことにより、カンピロバクターによる食中毒を発症することがある。

3 正しい

牛レバーによる生食が原因となったカンピロバクターによる食中毒事例が報告されている。

4 正しい

カンピロバクターは乾燥に弱いため、表面が乾燥した鶏卵の生食による発症のリスクは低い。

5 誤っている

カンピロバクターは再興感染症ではない。なお、再興感染症とは、「既知の感染症で、既に公衆衛生上の問題とならない程度までに患者が減少していた感染症のうち、近年再び流行し、患者数が増加したもの」と定義されている。