第101回薬剤師国家試験

◆問270-271

腫瘍内科カンファレンスにおいて、薬剤師が抗腫瘍薬の治療薬物モニタリング(TDM)に関する以下の説明を行った。
「この薬物は特定薬剤治療管理料算定が認められている抗腫瘍薬です。経口投与で用いられ、定められた最小有効トラフ濃度を超えていることをTDMによって確認することが望ましいです。」

◆ 問270


◆ 問271

成人男性に対して前問の薬物を12時間毎に繰り返し経口投与するとき、定常状態における血中濃度のトラフ値が1,000 ng/mLとなる1回あたりの投与量はどれか。1つ選べ。ただし、この薬物の体内動態は線形1-コンパートメントモデルに従うものとし、100 mgを単回経口投与したときの最高血中濃度は400 ng/mL、血中消失半減期は12時間とする。また、本剤の吸収は速やかであり、吸収にかかる時間は無視できるものとする。
  • 125mg
  • 250mg
  • 375mg
  • 500mg
  • 625mg

◆ 問270

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


選択肢のうち、特定薬剤治療管理料の算定が認められる薬物は、イマチニブメシル酸塩及びメトトレキサートである。

・イマチニブメシル酸塩

TDMにおいて、最小有効トラフ濃度が1,000 ng/mLを超えていることを確認する

*問271に「定常状態にける血中濃度のトラフ値が1,000 ng/mLとなる1回あたりの投与量」と記載されていることからもイマチニブメシル酸塩に関する問題であることがわかる。

・メトトレキサート

TDMにおいて、投与24時間後、48時間後、72時間後に定められた濃度以下であることを確認する

◆ 問271

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


問題文に「本剤の吸収は速やかであり、吸収にかかる時間は無視できるものとする。」と記載されていることから、吸収時間を考慮せず静注時と同様に本設問を考えることができる。

<本設問を解くときのpoint!>

・静注時

最高血中濃度=投与初期の血中濃度

・投与間隔=血中消失半減期

定常状態の最高血中濃度(ピーク値)=2×投与初期の血中濃度

定常状態の最低血中濃度(トラフ値)=投与初期の血中濃度
これらのことより、定常状態における血中濃度のトラフ値が1,000 ng/mLとなるようにするためには、最高血中濃度(=投与初期の血中濃度)が1,000 ng/mLとなるように投与すればよい。
問題文に「100 mgを単回経口投与したときの最高血中濃度は400 ng/mL」とあることから、最高血中濃度(=投与初期の血中濃度)が1,000 ng/mLとなるようにするためには1回250 mg投与すればよい。