第102回薬剤師国家試験

◆ 問113

ヒトの体内で働くタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 膵臓から分泌されるキモトリプシンは、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離する。
  • トリプシンの触媒作用には、その活性部位にあるセリン残基が関与する。
  • トリプシノーゲンは、十二指腸上皮細胞から分泌されるエンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼともよばれる)により小腸内でトリプシンに変換される。
  • アンチトロンビンⅢは、主として血管内皮細胞から分泌され、トロンビンの活性を阻害する。
  • 組織プラスミノーゲンアクチベーターは、血液凝固反応で形成されたフィブリンの分解反応を触媒する。

◆ 問113

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


1 誤

キモトリプシンは、膵臓からキモトリプシノーゲンとして十二指腸に分泌され、十二指腸で活性体となり、芳香族アミノ酸のカルボキシ基側のペプチド結合を切断する。なお、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離するのは、カルボキシペプチダーゼである。

2 正

トリプシンは、セリンプロテアーゼであり、その活性部位にあるセリン残基が触媒作用に関与している。

3 正

トリプシノーゲン(トリプシンの前駆体)は、膵臓から十二指腸に分泌され、その後、エンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼ)によりトリプシンに変換される。

4 誤

アンチトロンビンⅢは、主として肝臓から分泌され、トロンビンの活性を阻害することにより血液凝固を阻止する。

5 誤

組織プラスミノーゲンアクチベーターは、プラスミノーゲンをプラスミンに変換する反応を触媒する酵素である。なお、プラスミノーゲンから生成したプラスミンがフィブリンの分解反応を触媒する。