第102回薬剤師国家試験

◆ 問168

抗不整脈薬の体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
  • キニジンは、腎尿細管分泌によって大部分が未変化体のまま排泄されるため、肝障害が全身クリアランスに及ぼす影響は小さい。
  • 心筋梗塞時にはα1−酸性糖タンパク質の血漿中濃度が減少し、ジゾピラミドの全身クリアランスが上昇する。
  • ジルチアゼムは、腎臓からの未変化体の排泄率が高いため、腎障害時には全身クリアランスが低下する。
  • プロカインアミドは、腎尿細管において有機アニオン輸送系を介して分泌されるため、プロベネシドの併用により全身クリアランスが低下する。
  • 心拍出量が減少したうっ血性心不全の患者では、健常人に比べ、プロプラノロールの全身クリアランスが低下する。

◆ 問168

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


1 誤

キニジンは、主に肝臓によって消失する薬物であり、肝障害が全身クリアランスに及ぼす影響は大きい。

2 誤

心筋梗塞時にはα1-酸性糖タンパク質の血漿中濃度が増大し、塩基性薬物であるジソピラミドの遊離型薬物濃度が低下する。それによりジソピラミドの組織移行性が低下し、全身クリアランスが低下する。

3 誤

ジルチアゼムは、主に肝臓によって消失する薬物であり、肝障害時には全身クリアランスが低下する。

4 誤

プロカインアミドは、腎尿細管に存在する有機カチオン輸送系により分泌されるため、プロベネシドと併用しても全身クリアランスはほとんど変化しない。

5 正

心吐出量が減少したうっ血性心不全患者では肝血流量が低下するため、肝血流依存型の肝消失型薬物であるプロプラノロールの全身クリアランスが低下する。