第102回薬剤師国家試験

◆ 問173

高分子及び高分子水溶液に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 天然高分子の分子量は不均一であるが、合成高分子は重合度が均一で分子量の分布はない。
  • 高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類や比率によって決まり、直鎖状、分枝状などの構造による影響を受けない。
  • 等電点付近のpH領域において、タンパク質は分子が広がった状態となるため、溶液の粘度が高くなる。
  • 高分子溶液のコアセルベーションは、相分離により高分子の濃厚な相と希薄な相に分かれる現象である。
  • 極限粘度(固有粘度)は、高分子水溶液の還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度→0となるように外挿した時の切片の値である。

◆ 問173

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


1 誤

生体高分子などの天然高分子は、一般に分子量は均一であるが、合成高分子は合成条件や合成機構により分子量が不均一性を示す。

2 誤

高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類、比率、構造(直鎖状、分枝状など)による影響を受けて変化する。

3 誤

等電点付近のpHでは、タンパク質の電荷が±0の状態にあり、タンパク質は水になじみにくい状態となる。貧溶媒中において、タンパク質などの高分子は集合する。そのため、等電点付近のpH領域において、タンパク質は集合し、その溶液の粘度が低くなる。

4 正

親水性の高分子溶液にアルコール又は逆の電荷を有する高分子を添加すると、相分離により高分子の濃厚な相と希薄な相に分離するコアセルベーションが認められる。

5 正

極限粘度(固有粘度)とは、高分子希薄溶液における粘度のことであり、高分子水溶液の還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度→0となるように外挿した時の切片の値より求められる。