第102回薬剤師国家試験

◆問232-233

85歳男性。在宅にて要介護度5の寝たきり状態であったが、高熱のため入院した。入院時に患者に触れた看護師等の職員の数名が数日後かゆみを伴う皮膚症状を訴えた。その後、患者が重度の角化型疥癬と診断されたため、院内感染対策委員会にて対応策が検討された。

◆ 問232

角化型疥癬とその対応策に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 肌と肌の直接接触を介してのみ感染し、はがれた角質層の飛散や付着により感染が広まることはない。
  • 患者のリネン等を洗濯する際、加熱処理や乾燥を行えば感染を防ぐことができる。
  • 高齢者では一旦治癒と診断されても、数ヶ月後に再燃することがあるので注意を要する。
  • 患者と接触がなく症状がない職員に対しても、予防の目的でイベルメクチンの内服投与を実施する。

◆ 問233


◆ 問232

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生することにより発症する皮膚感染症であり、宿主の免疫力が低下している場合に発症しやすい。

1 誤

角化型疥癬では、患者の皮膚及び角質に多数のヒゼンダニが存在するため、肌と肌の直接接触、はがれた角質層の飛散や付着により感染が広まることがある。

2 正

ヒゼンダニは、熱、乾燥に弱く、50℃、10分間の加熱処理で死滅するとされている。よって、リネン等を洗濯する際、加熱処理や乾燥を行えば感染を防ぐことが可能となる。

3 正

疥癬は一旦治癒と診断されても、数ヶ月後に再燃することがある。特に高齢者では、免疫力が低下しているため、再燃する可能性が高い。

4 誤

イベルメクチンは、「疥癬と確定診断された者」、「疥癬患者と接触の機会があり、疥癬の症状を呈する者」に投与することが可能である。

◆ 問233

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


院内感染対策を行うにあたり、陰圧個室に患者を収容するなど空気感染(飛沫核感染)対策をとる必要がある代表的な感染症は、「水痘」「結核」「麻疹」である。なお、クロストリジウム・ディフィシル感染症は主に接触感染、マイコプラズマ感染症は主に飛沫感染、ノロウイスル感染症は主に接触及び飛沫感染を起こす感染症である。