第102回薬剤師国家試験

◆問290-291

62歳男性。1ヶ月ほど前から息切れ、呼吸困難などの心不全症状が出現し、アルコール性心筋症との診断を受け、以下の処方により加療中である。薬剤師が現在の症状を確認すると、「最近は呼吸が苦しくなることが多く、家の中で座っていれば問題ないが、少し散歩するだけでも息切れがする」との訴えがあった。
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◆ 問290

この患者の病態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 適切な治療を施しても生存率が低く予後不良である。
  • NYHA機能分類Ⅲ度(中等度〜重度)の心不全症状を呈している。
  • 肥大型心筋症の病態を呈している。
  • カリウムの摂取制限が推奨される。
  • 治療の基本に断酒がある。

◆ 問291


◆ 問290

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


1 誤
アルコール性心筋症は、適切な治療を施せば生存率が高く、比較的予後は良好である。

2 正
NYHA(New York Heart Association)機能分類は、自覚症状による心不全の重症度の分類である。問題文に「最近は呼吸が苦しくなることが多く、家の中で座っていれば問題ないが、少し散歩するだけでも息切れがする」と訴えがあったと記載されていることから、本患者は、NYHA機能分類Ⅲ度(中等度〜重度)の心不全症状を呈していると考えられる。

3 誤
アルコール性心筋症では、拡張型心筋症の病態を呈する。

4 誤
カリウム値は基準値(3.5〜4.9 mEq/L)内にあるため、カリウムの摂取制限を行う必要はない。

5 正
アルコール性心筋症の治療の基本は、断酒である。断酒を行うことにより心不全症状が改善傾向を示すとされている。
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◆ 問291

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


本患者は、NYHA機能分類Ⅲ度(中等度〜重度)の心不全症状を呈していることから、現在使用している薬に加え、ジゴキシンを追加投与することが推奨される。
(注:ARBについては、ACE阻害薬で忍容性のない患者に使用されるため、ACEとARBは併用されることはない。)
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