第103回薬剤師国家試験

◆ 問138

富栄養化とその対策に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 湖沼を水源としている水道水では、2−メチルイソボルネオールやジェオスミンによる異臭が発生することがある。
  • 閉鎖性水域で富栄養化が起こると、酸化鉄の蓄積により赤潮が生じることがある。
  • 「生活環境の保全に関する環境基準」において、富栄養化の原因となる全窒素及び全リンについて、河川、湖沼及び海域における基準値が定められている。
  • 下水の高度処理において、活性汚泥中の脱窒菌は嫌気的な条件で硝酸態窒素を還元し、窒素ガスとして大気中に放出する。
  • 下水の高度処理において、活性汚泥中のリン蓄積細菌は、嫌気的条件でリンを蓄積する。

◆ 問138

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


1 正
湖沼を水源としている水道水では、藻類が生成するカビ臭物質(2−メチルイソボルネオールやジェオスミン)による異臭が発生することがある。

2 誤
閉鎖性水域で富栄養化が起こると、植物プランクトンが異常増殖することによる赤潮(植物プランクトンが有する色素が赤いため、水面が赤く色づく現象)が生じることがある。

3 誤
「生活環境の保全に関する環境基準」において、富栄養化の原因となる全窒素及び全リンについて、湖沼及び海域における基準値が定められているが、河川における基準値は定められていない。

4 正
脱窒菌を用いた生物学的脱窒処理について以下に示す。
・アンモニア態窒素を曝気槽で酸化し、硝酸や亜硝酸にする。
・電子供与体を加える。
・酸素がない状態にする(嫌気的条件にする)
嫌気的条件になると、脱窒菌が硝酸態窒素を還元し、大気中に窒素ガスを放出する。

5 誤
リン蓄積細菌は、嫌気的条件ではリン酸を放出し、好気的条件では過剰なリン酸を取り込むという特徴を有する。これにより、リン蓄積細菌を用いて下水処理過程で発生するリンを除去することができる。