第103回薬剤師国家試験

◆ 問154

統合失調症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • ハロペリドールは、黒質−線条体ドパミン神経系を介する過剰な神経伝達を抑制することで陽性症状を改善する。
  • クエチアピンは、セロトニン5−HT2A受容体、ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を遮断する。
  • アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5−HT1A受容体に対して部分刺激薬として作用する。
  • パリペリドンは、主に大脳皮質のセロトニン5−HT2A受容体を刺激することで陰性症状を改善する。
  • クロルプロマジンは、腹側被蓋野–側坐核ドパミン神経を介する過剰な神経伝達を抑制することで制吐作用を示す。

◆ 問154

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


1 誤
ハロペリドールは定型抗精神薬であり、主に中脳−辺縁系ドパミン神経系におけるドパミンD2受容体遮断作用により、陽性症状を改善する。
<参考:ドパミンの脳での働き>
・中脳−皮質系:ドパミン不足→陰性症状
・中脳−辺縁系:ドパミン過剰→陽性症状
・黒質−線条状体:ドパミン不足→錐体外路症状
・視床下部−下垂体系:ドパミン不足→高プロラクチン血症

2 正
クエチアピンは、多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)であり、セロトニン5−HT2A受容体、ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を遮断することにより、統合失調症の陽性症状および陰性症状を改善する。

3 正
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5−HT1A受容体に対して部分刺激薬として作用し、統合失調症の陽性症状および陰性症状を改善する。

4 誤
パリペリドンは、セロトニン・ドパミンアンタゴニスト(SDA)であり、ドパミン受容体遮断作用およびセロトニン受容体5−HT2A受容体遮断作用を有しており、統合失調症の陽性症状および陰性症状を改善する。なお、パリペリドンはリスペリドンの活性代謝物である。

5 誤
クロルプロマジンは、延髄化学受容体引金帯(CTZ)におけるドパミンD2受容体を遮断することにより制吐作用を示す。