第103回薬剤師国家試験

◆ 問184

40歳女性。丸顔と中心性の肥満を伴った高血圧症と糖尿病の患者。二次性高血圧の精査のため受診したところ、早朝空腹時の血中ACTHとコルチゾールの高値を認めた。そこで入院の上、就寝前に0.5mgのデキサメタゾンを内服して翌朝の血中コルチゾールを測定したところ12 μg/dLであった。翌日、就寝前に8 mgのデキサメタゾンを内服して、その翌朝に血中コルチゾールを測定すると3 μg/dLであった。
本症例の病態として適切なのはどれか。1つ選べ。
  • クッシング病
  • 異所性ACTH産生腫瘍
  • 副腎腺腫
  • 副腎癌
  • 副腎皮質過形成

◆ 問184

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


患者の症状、状態(丸顔と中心性の肥満を伴った高血圧、糖尿病)より副腎からホルモンが過剰に分泌されるクッシング症候群が疑われる。そこで、デキサメタゾン抑制試験(クッシング症候群が疑われる場合に行われる試験)を実施した。

<デキサメタゾン抑制試験の概要>
就寝前にデキサメタゾンを0.5 mg投与後、翌朝、血中コルチゾールを測定する。
・翌朝、血中コルチゾールが低下している場合
ネガティブフィードバックによりコルチゾールの分泌が抑制されている→クッシング症候群ではない。
・翌朝、血中コルチゾールが低下しない場合
なんらかの原因でコルチゾールが過剰分泌している(クッシング症候群と考えられる)。

<クッシング症候群の原因を鑑別する>
就寝前にデキサメタゾンを8 mg投与後、翌朝、血中コルチゾールを測定する。
・翌朝、血中コルチゾールが低下している場合
下垂体前葉にネガティブフィードバックが働き、コルチゾールの分泌が抑制されている
→下垂体前葉に問題あり
・翌朝、血中コルチゾールが低下しない場合
下垂体前葉にネガティブフィードバックが働いているにも関わらずコルチゾール分泌が行われている
→下垂体前葉以外に原因あり(異所性ACTH産生腫瘍、副腎異常の可能性あり)

上記より、本症例の病態(デキサメタゾン抑制試験:陽性、デキサメタゾン大量投与後の血中コルチゾール:低下)は、クッシング病(下垂体性ACTH分泌亢進症)であると考えられる。