第103回薬剤師国家試験

◆問244-245

病院のスタッフステーションで、感染性廃棄物用の容器の近くの床に注射針が落ちていた。これを拾おうとした医療従事者が誤って指に針を刺してしまった。この病棟には、HIV、B型肝炎ウイルス又はC型肝炎ウイルスに感染した患者が入院しているが、指に刺してしまった針が、いずれの患者に使用されたものかは不明であった。事故後、直ちに、この医療従事者の血液検査を行った。

◆ 問244

針を刺してしまった医療従事者への対処として、誤っているのはどれか。2つ選べ
  • 傷口を流水で洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒を行う。
  • HBs抗原が陽性もしくはHBs抗体が陽性の場合には、B型肝炎への新たな感染の可能性はないため、B型肝炎に対する処置の必要はない。
  • HBs抗体を獲得していない場合には、事故発生後直ちに抗HBsヒト免疫グロブリンを投与する。
  • 抗HIV薬の投与を直ちに開始することがある。
  • 事故後2週間まで、抗HIV抗体の検査を継続する。

◆ 問245


◆ 問244

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


1 誤っている
針刺し事故発生時、直ちに流水と石鹸で十分に洗浄する必要がある。その際、次亜塩素酸による消毒は行わない。

2 正しい

3 正しい

4 正しい
針刺し事故により、HIVに感染する可能性がある場合には、針刺し事故後、直ちにテノホビル/エムトリシタビン合剤とラルテグラビルを併用することがある。

5 誤っている
HIV曝露後予防に関する経過観察は以下の4点、①曝露時点、②曝露後6週、③曝露後12週、④曝露後6ヶ月、で行うことが推奨されている。なお、経過観察に第4世代HIVスクリーニング検査(抗原・抗体スクリーニング)を用いる場合には経過観察期間を4ヶ月に短縮することも可能である。

◆ 問245

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルでは、「インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)伝染性紅班、レジオネラ症等の患者の紙おむつは、血液等が付着していなければ感染性廃棄物ではない。」とされている。
感染性廃棄物判断フローを以下に示す。

*感染性廃棄物判断フロー:廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル引用
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