第103回薬剤師国家試験

◆ 問326

50歳男性。28歳の時に胃の全摘出手術を受け、術後5年間は定期的に検査を受けていたが、それ以降は通院していなかった。数週間前より疲れやすくなり、食欲も減退したことから、クリニックを受診した。受診時には皮膚蒼白であった。血液検査の結果は以下の通りであった。
白血球数6,500/μL、Hb 7.9 g/dL、血小板数20×104/μL、MCV 140 fL、MCH 45 pg、
血清鉄165 μg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102 mEq/L
この患者に欠乏していると考えられる栄養素として適切なのはどれか。1つ選べ。
  • ビタミンA
  • ビタミンB2
  • ビタミンB6
  • ビタミンB12
  • ビタミンD

◆ 問326

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


本患者は既往歴として「胃の全摘出手術」を受けており、自覚症状として「疲れやすい」「食欲の減退」があり、また、受診時には「皮膚蒼白」であることから、本患者は貧血状態にあると考えられる。
<検査値の概要>
白血球数、血清鉄、電解質(Na、K、Cl)、血小板数については基準値範囲内にある
Hb(基準値:13.4〜17.4 g/dL)は基準値より低い。
MCH(平均血球色素量、基準値:26〜34 pg)は基準値より高い。
MCV(平均赤血球容積、基準値:80〜100 fL)は基準値より高い。
上記より、本患者は大球性高色素性貧血を示す巨血芽球性貧血であると考えられる。
ビタミンB12及び葉酸が欠乏すると、DNA合成が障害されることにより赤芽球の分裂が抑制され、巨血芽球性貧血を起こすことがある。
よって、この患者に欠乏していると考えられる栄養素は、ビタミンB12である。