第104回薬剤師国家試験

◆問202-203

73歳女性。体重48 kg。高血圧の既往症があり、現在、オルメサルタン口腔内崩壊錠を服用している。この女性は毎日、血圧を測定しており、その値は正常値の範囲内で安定している。最近、咳が止まらず近医を受診したところ、肺非結核性抗酸菌症と診断された。本人が以下の処方箋を持って来局した。
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◆ 問202

服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 尿が赤くなったら、リファンピシンをすぐに中止してください。
  • 咳が止まれば、薬を飲みきらなくても大丈夫です。
  • 物が見えにくいと感じたら、すぐにお知らせください。
  • 服用後1週間ほどすると血圧がいつもより下がるので、ふらつきに気を付けてください。
  • 水の様な下痢が起きたら、すぐにお知らせください。

◆ 問203


◆ 問202

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


1 誤
リファンピシンを服用すると、尿や汗、涙が赤くなることがあるが、特に問題ないため、リファンピシン服用中に尿や汗、涙が赤くなっても継続して服用するように説明する必要がある。

2 誤
咳が止まっても体内に菌が残っている可能性があるため、継続して薬を服用する必要がある。

3 正
エタンブトール塩酸塩は重大な副作用として、視力障害を起こすことがあるため、視力障害が認められた場合には、すぐに知らせてもらう必要がある。なお、エタンブトール塩酸塩による視力障害は、早期に発見し投与を中止すれば回復することがあるが、発見が遅れ高度に進行すると非可逆的になることがある。

4 誤
リファンピシン、クラリスロマイシンは、肝代謝酵素に影響を与えるが、降圧剤であるオルメサルタンの体内動態に影響を与えるとの報告がないことから、本処方を服用後に血圧の変動はないと考えられる。

5 正
リファンピシン、クラリスロマイシンは重大な副作用として、偽膜性大腸炎を起こすことがあるため、水様性下痢や粘血便が現れた場合には、すぐに知らせてもらう必要がある。

◆ 問203

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


1 誤
スペクトルの縦軸の吸光度は、透過度の逆数の常用対数を表している。
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2 誤
紫外可視吸光度測定法では、紫外部(波長:200〜380 nm)の測定には石英セルが用いられ、可視部(波長:380〜800 nm)の測定には石英セルまたはガラスセルが用いられる。本問のスペクトル測定では、紫外部と可視部のスペクトルの測定を行っていることから、石英セルが用いられる。

3 誤
220 nm から 270 nm の領域にみられる光の吸収は紫外部の光の吸収であるため、今回の着色の原因であるとは考えられない。

4 誤
335 nm 付近のピークの波長の光は紫外部の光であり、ヒトの眼では認識できない。

5 正
自然光は多くの波長の光が均等に混じっており、色合いの感覚を与えない光(白色光)として存在している。物質が色づいて見えるのは、自然光を物質に当てると特定の波長を吸収し、吸収されなかった波長の光が反射されるためである。このことから尿が赤く見えた要因は、リファンピシンとその代謝物が波長475 nm付近にピークを持つ青から緑色の光を吸収し、赤色の光を反射したためであると考えられる。