第104回薬剤師国家試験

◆問232-233

5歳女児。保育園でシラミ症が集団発生し、母親と共に皮膚科を受診した。皮膚科医より第二類医薬品であるスミスリン®Lシャンプ―(注)で頭を洗うように指示を受け、薬局を訪れた。
(注:スミスリン®Lシャンプ―:成分 フェノトリン(4 mg/mL))

◆ 問232

薬剤師が母親に説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • シラミのうち、頭部に寄生するのはアタマジラミです。
  • シラミが頭部に寄生したら幼稚園、保育園、小学校等に行ってはいけません。
  • スミスリン®Lシャンプ―は、日常の頭髪の洗浄目的には使えません。
  • スミスリン®Lシャンプ―は、一度の使用で効果を示すので、繰り返し使用しないでください。
  • 一度シラミ症になると免疫ができるので、再発症することはありません。

◆ 問233


◆ 問232

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


1 正
ヒトに寄生するシラミには、ケジラミとヒトジラミの2種類があり、ヒトジラミはさらにコロモジラミとアタマジラミの2種類に分類される。ケジラミは主に成人の陰毛に寄生し、アタマジラミは、主に頭髪や頭皮に寄生する。

2 誤
シラミが頭部に寄生しても、幼稚園、保育園、小学校等に行っても問題ない。

3 正
スミスリン®Lシャンプ―は、アタマジラミ、ケジラミを駆除するための医薬品であり、日常の頭髪の洗浄目的に使用しないこととされている。

4 誤
スミスリン®Lシャンプ―の使用法を以下に示す。
104回問232-233画像1


5 誤
一度シラミ症になっても、再度感染、再発症することがある。

◆ 問233

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


1 誤
DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の構造である。DDTは農薬やシラミの駆除剤として用いられていたが、現在では、毒性の高さから、使用が禁止されている。

2 誤
カルバリルの構造である。カルバリルは、コリンエステラーゼを阻害することにより殺虫作用を示す。

3 誤
イミダクロプリドの構造である。イミダクロプリドは、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経を興奮させ続けることにより殺虫作用を示す。

4 正
フェノトリンの構造である。 フェノトリンは、神経細胞におけるNaチャネルに作用し、神経伝達を遮断することにより殺虫作用を示す。

5 誤
パラチオンの構造である。パラチオンは、コリンエステラーゼを阻害することにより殺虫作用を示すが、現在では、ヒトへの毒性が高いことから、使用が禁止されている。