第104回薬剤師国家試験
◆問296-297
66歳女性。忙しい夫の会社を手伝っている。遠方に住む共働きの息子夫婦に半年ほど前に子供ができ、世話を頼まれたので、忙しい中、自宅と息子夫婦の家の行き来を繰り返している。2〜3週間前より、気分が優れず、食欲がなくなり、眠りにつくにも時間がかかるようになった。女性は、理由はわからないが「きっと私のせいで夫の会社が倒産する」と思うようになった。心配した夫と一緒に精神科を受診し、うつ病と診断された。以下の処方箋を持ってこの患者が来局した。

◆ 問296
この患者の病態、症状及び検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。-
Self–rating Depression Scale(SDS)は診断に有用な評価スケールである。
-
被害妄想状態が認められる。
-
誇大妄想や精神運動制止が認められる。
-
食欲不振は身体症状である。
-
睡眠障害は中途覚醒である。
◆ 問297
◆ 問296
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、4
1 正
Self–rating Depression Scale(SDS)は、患者本人が20の質問に答えていく心理検査である。SDSは、うつの程度を客観的に数値化することが可能であり、うつ病の補助診断ツールとして有用である。
2 誤
うつ病の症状は精神症状と身体症状に分けることができる。

本患者は、理由はわからないが「きっと私のせいで夫の会社が倒産する」と思うようになっていることから、罪業妄想が現れていると考えられる。なお、被害妄想が認められる疾患として、統合失調症がある。
3 誤
問題文より、本患者には精神運動制止(思考の停止、無言、無動など)や誇大妄想は認められていない。なお、うつ病では、精神運動制止が認められることがあるが、誇大妄想が認められることはない。
4 正
解説2参照
5 誤
問題文に「眠りにつくにも時間がかかるようになった」と記載されていることに加え、本患者に対して超短時間作用型の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるエスゾピクロンが処方されていることから、本患者に認められる睡眠障害は、入眠障害であると考えられる。
◆ 問297
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:3、4
1 誤
処方1は選択的セロトニン再取り込み阻害薬であり、副作用として胃腸症状を起こすことがある。本剤服用中に胃腸症状が認められた場合には、患者の判断で勝手に休薬せず、必ず医師、薬剤師に連絡するように説明する必要がある。
2 誤
処方1はうつ症状を改善するための薬剤であり、処方2の副作用を軽減するための薬剤ではない。なお、処方2は処方1の作用が発現するまでの間に認められる不安を軽減するために処方されていると考えられる。
3 正
処方3は重大な副作用として一過性の前向性健忘(症状:服用後ある一定期間または夜間に中途覚醒したときのことを記憶していないなど)を起こすことがある。
4 正
処方2、3は副作用として口渇を起こすことがある。
5 誤
処方1の効果が現れ、不安や睡眠障害が改善されるとともに処方2、3を減薬または休薬する。