第104回薬剤師国家試験

◆問304-305

52歳男性。身長170 cm、体重65 kg。3年前、胃がんのため胃亜全摘切除手術を受け、近医で経過観察していた。今回の定期検診で肝転移が見つかり、化学療法導入目的で大学病院に紹介入院となった。全身倦怠感、動悸を自覚しており、貧血に対して処方1の薬剤が処方されていたが、入院時の血液検査の結果により、処方1に替えて処方2が開始された。
104回問304-305画像1

◆ 問304


◆ 問305

処方2を2週間実施した後に血液検査が実施され、以下の結果が得られた。
RBC340万/µL、Hb10.2g/dL、Ht30.0%、MCV105fL、MCH39 pg、血清ビタミンB12値80 pg/mL(基準値200〜1,000pg/mL)、血清総葉酸値11.5 ng/mL(基準値6.0〜20 ng/mL)
本症例における貧血治療の今後の方針として適切なのはどれか。1つ選べ。
  • メコバラミン注射液の筋肉内投与
  • 葉酸錠の経口投与
  • クエン酸第一鉄ナトリウム錠を増量して再開
  • プレドニゾロン錠の経口投与
  • 脾臓の摘出術

◆ 問304

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


1 誤っている
本剤を希釈する必要がある場合には、通常、用時10〜20%のブドウ糖注射液で5〜10倍にすることとされている。なお、本剤はコロイド性の注射剤となっていることから、電解質を含む生理食塩水を使用して希釈すると凝集沈殿する可能性がある。そのため、本剤を電解質溶液で希釈することは避ける。

2 正しい
本剤はpH変化により配合変化を生じやすいため、他の薬剤との配合には注意することとされている。

3 正しい
本剤は2分以上かけて徐々に投与することとされている。

4 正しい
本剤を注射する際には、血管外に漏出しないよう十分注意することとされている。血管外に漏出した場合には、漏出部位周辺に色素沈着を、また、疼痛、知覚異常、腫脹等の局所刺激を起こすことがある。このような場合には、温湿布を施し(疼痛,腫脹等の急性炎症症状が強い場合には冷湿布により急性症状がおさまった後)、マッサージ等をして吸収を促進させる等適切な処置を行うこととされている。

5 正しい

◆ 問305

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


MCVが高く、血清ビタミンB12値が低いことから、ビタミンB12欠乏性貧血が疑われる。このことから、今後の貧血治療の方針として「メコバラミン注射液の筋肉内投与」が適切である。