第104回薬剤師国家試験

◆問308-309

58歳男性。入院中にヘリコバクター・ピロリの一次除菌を行うことになった。現在処方されている薬剤があり、除菌時の治療薬の選択について医師から薬剤師に問合せがあった。処方は、以下の薬剤を考えているとのことであった。なお、この病院ではDiagnosis Procedure Combination(DPC;診断群分類)制度に基づいて、入院患者の診療報酬を請求している。
アモキシシリン水和物
クラリスロマイシン
「 薬物A 」

<現在の処方薬>
クロピドグレル硫酸塩
プラバスタチンナトリウム
カルベジロール

◆ 問308


◆ 問309

DPC制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 傷病名と診療行為に基づいて包括払い金額が決まる仕組みである。
  • 入院中に使用する薬剤は、出来高払いで請求する。
  • 手術・麻酔の費用は、出来高払いで請求する。
  • 入院期間が長くなっても、包括払い金額は同じである。
  • 全ての病院が、この制度を利用している。

◆ 問308

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


ヘリコバクター・ピロリの一次除菌では、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン、プロトンポンプインヒビター(PPI)の3剤併用療法を行う。選択肢のうち、オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾールはPPIに該当する。本症例では、併用薬としてクロピドグレル硫酸塩を服用していることから、CYP2C19阻害作用を有するオメプラゾールと相互作用を起こすおそれがあるため、薬物Aとして推奨すべき薬剤は「ラベプラゾールナトリウム」「ランソプラゾール」である。

<参考:オメプラゾールとクロピドグレル硫酸塩の相互作用について>
オメプラゾールがCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物の血中濃度が低下する。

◆ 問309

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


DPC制度(包括医療費支払い制度)とは、新たに導入された診療報酬制度のことであり、従来の診療報酬制度と異なり、包括評価部分(入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射など)と出来高評価部分(手術、麻酔、放射線治療、内視鏡検査、リハビリなど)を組み合わせて診療報酬を算定する方法である。
1 正
DPC制度における包括評価部分は、傷病名と診療行為によって金額が決まっている。

2 誤
入院中に使用する薬剤は、包括評価部分に含まれている。

3 正
手術・麻酔の費用は、出来高評価部分に含まれている。

4 誤
包括払い金額は入院期間(在院日数)に応じて算定方式が異なり、入院期間が長くなると、安くなる。

5 誤
要件を満たした医療機関のみ、DPC制度を導入することができる。