第104回薬剤師国家試験

◆問316-317

56歳男性、会社員。健康保険組合に加入しており、本人負担は3割である。現在、2型糖尿病と活動期の潰瘍性大腸炎のため、病院で治療を受けている。治療中の潰瘍性大腸炎の薬の効果が実感できず、製薬企業から病院へ依頼があったプラセボを対照薬とする二重盲検法による治験に参加することになった。ただし、2型糖尿病の治療は、DPP–4阻害剤を服用しているが、当該疾患は治験の対象外である。

◆ 問316


◆ 問317

当該患者の治験実施期間内における診療費の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 全ての診療費の項目が保険給付の対象になる。
  • 治験は選定療養に該当するため保険給付との併用が認められる。
  • 治験は評価療養に該当するため保険給付との併用が認められる。
  • 治験は患者申出療養に該当するため保険給付との併用が認められる。
  • 全ての診療費の項目が保険給付の対象から除外される。

◆ 問316

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


1 適切である
被験者はいつでも治験をとりやめることが可能である。

2 適切である
本治験の内容は、プラセボを対照薬とする二重盲検法であるため、プラゼボが投与される可能性がある。

3 適切である
治験が正確に行われているか(GCP省令に従っているか、治験実施計画書に従っているか)を確認するために、治験を依頼した製薬企業関係者が治験の内容を確認することがある。

4 適切ではない
本治験の内容は、プラセボを対照薬とする二重盲検法であるため、治験中に実薬かプラセボのどちらを投与されているかを教えてもらうことはできない。

5 適切である
治験を正確に行うために、治験薬を決められた用量と用法を守って服用する必要がある。また、現在服用している薬以外を併用しないようにする必要がある。

◆ 問317

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


保険外併用療養費制度では、「選定療養」「評価療養」「患者申出療養」は、保険診療との併用が認められている。医薬品の治験に係る診療は評価療養に該当するため、保険給付との併用が認められている。

<参考>
①:選定療養
患者が自ら希望して選ぶ療養
保険導入を前提としない療養
<例>
・特別の療養環境(差額ベッド)
・歯科の金合金等
・金属床総義歯
・予約診療
・時間外診療
・大病院の初診
・180日以上の入院 など

②:評価療養
医学的な価値が決まっていない新しい治療法や新薬など将来的に保険導入をするか評価される療養
<例>
・先進医療
・医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療
・医薬品医療機器法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用
・薬価基準収載医薬品の適用外使用
(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの)
・保険適用医療機器、再生医療等製品の適用外使用
(使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの)

③:患者申出療養
患者の申し出を起点として、国内未承認医薬品の使用等を保険外併用療養として認める療養