第105回薬剤師国家試験

◆問220-221

65歳女性。体重50kg。数日前より左腰背部痛、悪寒を訴え、近医を受診した。精査の結果、腎結石と診断され、入院し経尿道的腎尿管結石砕石術(fTUL)が施行された。術後、翌朝に収縮期血圧約70mmHgへの低下を認めた。敗血症性ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断され、ICUへ転棟した。ICU入室後、ドパミン、ノルアドレナリン、バソプレシンが持続微量点滴にて投与され循環動態は安定、尿量も保たれた。抗菌薬はドリペネムとし、DICに対する以下の処方案について医師がICU担当の薬剤師に意見を求めた。

105回問220-221画像1

◆ 問220

 医師に対する、ICU担当の薬剤師の回答として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 出血所見がない場合、使用できない。
  • 過量投与による副作用発現に備えて中和剤を準備しておく。
  • 腎機能低下を考慮して、適宜減量して使用する。
  • ヒト血液由来の特定生物由来製品であるため、患者家族に感染リスクを説明する。
  • 点滴静注は約30分かけて行う。

◆ 問221


◆ 問220

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


1 誤
本剤は、患者が臨床的にDICの状態にあることを確認した場合に使用することが可能である。

2 誤
本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていない。

3 正
本剤は主として腎臓から排泄されるため、腎機能に応じて適宜減量して使用する。

4 誤
トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)は、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される糖タンパク質である。本剤は、ヒト血液由来製品ではないため、患者家族に感染リスクを説明する必要はない。

5 正
通常、成人には、トロンボモデュリン アルファとして1日1回380U/kgを約30分かけて点滴静注する。

◆ 問221

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する。生成した活性化プロテインCは、活性化第Ⅴ因子及び活性化第Ⅷ因子と不活化することによりトロンビンの生成を抑制し、血液凝固系の活性化を阻害する。本剤は、トロンビンの生成阻害作用に基づいた抗凝固作用によりDICの発症を抑制する。