第105回薬剤師国家試験

◆問280-281

食道がん全摘出後の患者(体重65kg)の栄養管理として、高カロリー輸液による中心静脈栄養法が実施されていた。NST(栄養サポートチーム)が患者ラウンドを行った際に、患者の皮膚状態が乾燥し、鱗状になっていることを発見した。NSTの薬剤師は、必須脂肪酸欠乏を疑い、医師らとともに他の臨床症状や検査値を確認した。協議の結果、静注用脂肪乳剤(イントラリポス®輸液20%、100mL、1本)を投与することになった。

◆ 問280

 看護師から病棟薬剤師に、静注用脂肪乳剤を投与する時の注意点について質問があった。薬剤師による説明として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 遮光して投与してください。
  • ゆっくり(3時間以上かけて)投与してください。
  • 高カロリー輸液に混合してください。
  • ポリカーボネート製三方活栓を使用してください。
  • 0.2µm孔径の輸液フィルターを用いて投与してください。

◆ 問281


◆ 問280

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


1 誤
暗所に保管する必要があるが、投与時は遮光する必要はない。

2 正
通常、1日250mL(ダイズ油として20%液)を3時間以上かけてゆっくり点滴静注する。

3 誤
投与する際には他の薬剤に混合することなく、単剤で投与する必要がある。

4 誤
脂肪乳剤であるため、接合部がポリカルボネート製の輸液セット等を使用した場合、その接合部にひび割れが生じ、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性がある。

5 誤
人工脂肪粒子の大きさは100〜700nm(平均:約400nm)であることから、200nm(0.2µm)のフィルターを通過しない。フィルターを使用する場合には、脂肪乳剤用のフィルター(孔径1.2µm)のフィルターを用いる。

◆ 問281

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


体内で脂肪乳剤が利用されるためには、幾つかの代謝経路を経なければならない。投与速度が速いと代謝速度が限界を超えて代謝が間に合わなくなり、脂肪利用率が低下し、血中で過剰な脂肪粒子の停滞を呈する。このことから、本剤を投与する際には、3時間以上かけてゆっくり点滴静注する必要がある。