第106回薬剤師国家試験

◆問156-157

40歳女性。 3年前に多発性関節炎を認め外来受診したところ、関節リウマチと診断された。メトトレキサートとプレドニゾロンによる治療が開始され、徐々に増量することにより症状の改善を認めていたが、最近、関節痛が再燃した。

◆ 問156

関節リウマチ治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • サラゾスルファピリジンは、T 細胞における炎症性サイトカインの産生を抑制する。
  • ペニシラミンは、分子内に2個のSH 基を有し、リウマトイド因子のジスルフィド結合の解離を抑制する。
  • エタネルセプトは、ヤヌスキナーゼを阻害して、サイトカイン受容体を介した細胞内情報伝達を阻害する。
  • インフリキシマブは、キメラ型抗ヒト TNF-αモノクローナル抗体で、TNF-αの受容体への結合を阻害する。
  • トシリズマブは、ヒト型可溶性 TNF Ⅱ型受容体−Fc融合タンパク質で、TNFの作用を抑制する。

◆ 問157


◆ 問156

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


1 正

サラゾスルファピリジンは、T細胞、マクロファージの作用を抑制し、炎症性サイトカインの産生を抑制する。

2 誤

ペニシラミンは、分子内に1個のSH基を有しており、免疫複合体やリウマトイド因子のジスルフィド結合(−S−S−)を開裂させることによりその作用を減弱させる。

3 誤

エタネルセプトは、完全ヒト型可溶性TNF−α/LT−α受容体であり、おとり受容体としてTNF−α、LT−αを捕捉し、細胞表面にある受容体との結合を阻害する。

4 正

インフリキシマブは、キメラ型抗ヒトTNF−αモノクローナル抗体であり、TNF-αの受容体への結合を阻害する。

5 誤

トシリズマブは、ヒト化ヒトIL−6受容体モノクローナル抗体であり、IL-6の作用を抑制する。

◆ 問157

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


1 誤

CEA(がん胎児性抗原)は、消化器がん(大腸がんなど)、肺腺がんなど様々ながんで増加する。

2 誤

CPK(クエアチニンホスホキナーゼ)は、主に筋肉に分布する酵素であり、筋肉障害に伴って上昇する。

3 誤

KL-6(シアル化糖鎖抗原)は、Ⅱ型肺胞上皮細胞や呼吸細気管支上皮細胞などに多く存在し、間質性肺炎で顕著に上昇する。

4 正

MMP3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)は、タンパク分解酵素であり、増殖する滑膜細胞組織より特異的に分泌され、関節炎の再燃に伴って上昇する。

5 正

白血球数は、関節リウマチなどの炎症性疾患で上昇する。