第106回薬剤師国家試験

◆問196-197

27歳既婚女性。生理が遅れているため、自宅近隣のドラッグストアで、妊娠検査薬を購入した。自宅でこの検査薬の説明書どおりに採尿部に尿をかけて、 規定の時間が経過したのち反応を観察した。
妊娠時にはヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌されることが知られており、尿中のhCG をイムノクロマトグラフィーで検出する妊娠検査薬が市販されている。

◆ 問196

次の模式図は、この女性が購入した妊娠検査薬の検出メカニズムを表している。以下の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
106回問196-197画像1
  • 目視で観測するため、抗体Aの標識には主に金コロイドが用いられる。
  • 「 X 」に入るのは、hCG である。
  • 「 Y 」に入るのは、ウサギ IgG である。
  • 尿中の hCG 濃度が著しく高いとき、判定窓の線が濃く、終了確認窓の線が薄くなったり、消失したりする場合がある。
  • 抗体Cの代わりに、hCG を用いることも可能である。

◆ 問197


◆ 問196

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


イムノクロマトグラフィーの測定原理について以下に示す。
106回問196-197画像1


採尿部に尿を滴下すると、尿に含まれるhCGがコンジュゲートパッドに含まれる抗体(hCGを特異的に認識する色素(金コロイド)や酵素で標識された抗体)と結合する。その後、抗原と抗体の免疫複合体は、毛細管現象により判定窓まで移動し、膜上に固定された抗体(hCGを特異的に認識する抗体)に捕捉される。
判定窓で生成されたサンドイッチ型複合体による呈色により、測定対象物の有無や量がわかる。
判定窓を通過した、抗原と反応しなかった抗hCGマウス標識抗体は、終了確認窓まで移動し、膜上に固定された抗体(抗hCGマウス標識抗体を特異的に認識する抗体)に捕捉される。
終了確認窓で呈色が認められることにより、検査が正常に終了したことが確認できる。

1 正しい
上記参照

2 正しい
上記参照

3 誤っている
「 Y 」に入るのは、マウスIgG である。

4 正しい
尿中の hCG 濃度が著しく高いと、hCGとhCGを特異的に認識する色素(金コロイド)標識された抗体の結合量が増えるため、判定窓の線が濃く、終了確認窓の線が薄くなったり、消失したりする場合がある。

5 正しい
抗体Cの代わりに、hCG を用いても、抗hCGマウス標識抗体を補足することが可能である。

◆ 問197

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


1 適切
生理が遅れている要因を確認することに加え、妊娠検査薬を使用する時期(生理予定日の約1週間後)が適切であるか確認するため、月経周期がこれまで順調であったかどうかを確認する。

2 不適切
各窓の線が明瞭ではなくても、妊娠の可能性がある。

3 適切

4 不適切
妊娠初期では、hCG量が少なく陰性になることがあるため、妊娠が疑われる場合には、数日後に再検査することを勧める

5 不適切
妊娠検査薬では、妊娠を確定することはできないため、産婦人科を受診し、妊娠したことが確定した後、母子手帳の交付を申請するよう勧める。