第106回薬剤師国家試験

◆問216-217

75歳男性。 3年前にパーキンソン病と診断され、レボドパ100mg・カルビドパ配合錠1日3錠、トリヘキシフェニジル塩酸塩錠2mg 1日3錠で薬物治療を継続していた。3ヶ月前にレボドパ100mg・カルビドパ配合錠が 1日5錠に増量になり(処方1)、さらに、今回から処方3が追加になった。処方2は、用法・用量の変更はなく継続中である。
106回問216-217画像1

◆ 問216


◆ 問217

この患者に起きていると考えられる生体内変化はどれか。2つ選べ。
  • 黒質から線条体に至るドパミン作動性神経の変性が進行した。
  • 線条体におけるコリン作動性神経からのアセチルコリン放出が減少した。
  • 線条体で放出されたドパミンの分解が低下した。
  • 線条体におけるコリン作動性神経のドパミンによる抑制が減弱した。
  • 末梢血液中のドパ脱炭酸酵素活性が低下した。

◆ 問216

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


1 誤
処方1(レボドパ・カルビドパ配合剤)を牛乳と一緒に服用すると、吸収が悪くなることが報告されているため、処方1と牛乳は一緒に服用することを避ける。

2 誤
処方3(プラミペキソール)は、パーキソニズムを改善する目的で処方されていると推察される。なお、問題文にある「体の一部が自然に動いてしまう不随意運動」とは、ジスキネジアを表しており、その治療にプラミペキソールを用いることはない。

3 正
ドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているため、そのような症状が現れた場合は減量または投与を中止するなど適切な処置を行う。

4 正
処方3では、突発的睡眠等により自動車事故を起こした例が報告されている。よって、本剤服用中は自動車等の運転を避ける必要がある。

5 誤
処方3の急激な減量、中止により、悪性症候群を誘発することがある。また、ドパミン受容体作動薬の急激な減量または中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等)が現れることがある。

◆ 問217

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


本患者はパーキンソン病であり、黒質から線条体に至るドパミン作動性神経が変性しているとともに線条体におけるドパミンの作用が減弱することでコリン作動性神経の抑制が減弱していると推察される。