第106回薬剤師国家試験

◆問264-265

63歳男性。体重64kg。左腎にがんを指摘され部分摘出術を受けた。その後、再発と骨転移、膵転移を認め、分子標的薬の投与が行われたものの再再発との評価を受け、先月よりニボルマブの単剤療法が開始された。

◆ 問264


◆ 問265

前問で選択した薬物の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
  • ヘルパーT細胞内のカルシニューリンを阻害することで、インターロイキン-2の産生を低下させる。
  • アウエルバッハ神経叢のオピオイドμ受容体を刺激することで、アセチルコリンの遊離を抑制し、蠕動運動を抑制する。
  • T細胞の細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合することで、T細胞の活性を維持する。
  • 可溶性腫瘍壊死因子α(TNF-α)と結合することで、抗炎症作用を発揮する。
  • 受容体との複合体が核内に移行し、糖質コルチコイド応答配列に結合することでタンパク質の生成を調節する。

◆ 問264

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


ニボルマブは、モノクローナル抗体であり、活性型T細胞の表面に発現するPD-1に結合し、PD-1とPD-L1、PD-L2との結合を阻害することでT細胞への抑制シグナルを減少させ、がん細胞に不応答となっていた腫瘍抗原特異的なT細胞の再活性化作用を示す。本剤はT細胞活性化による過剰な免疫反応による副作用(間質性肺炎、重症筋無力症、心筋炎、大腸炎、小腸炎、重度の下痢、1型糖尿病、血液障害、肝機能障害、甲状腺機能障害、下垂体機能障害、神経障害、腎障害、潰瘍性大腸炎、副腎障害、脳炎)を誘発することがある。本症例では、ニボルマブ使用による過剰な免疫反応で潰瘍性大腸炎を起こしていると推察される。潰瘍性大腸炎の初期治療には、抗炎症作用、免疫抑制作用を示す合成副腎皮質ステロイド性薬(メチルプレドニゾロン)が用いられる。

◆ 問265

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


1 誤
カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン、タクロリムス)に関する記述である。

2 誤
ロペラミドに関する記述である。

3 誤
イピリムマブに関する記述である。

4 誤
アダリムマブに関する記述である。

5 正