第106回薬剤師国家試験

◆問268-269

38歳女性。腰痛のため近医を受診したところ以下の薬剤を処方され、1歳0ヶ月の幼児(体重9kg)を伴って薬局を訪れた。
106回問268-269画像1

幼児は、1回の授乳で200mL程度の母乳を飲むことがあるとのこと。母乳による育児の継続を強く望んでいるが、薬の服用後に母乳中に薬が移行して子どもに影響することに不安を持っているとのことであった。アセトアミノフェンの乳汁/血漿中薬物濃度比は0.91〜1.4とされている。また、アセトアミノフェン錠の添付文書から薬物動態及び用法・用量に関する以下の情報を得た。
【薬物動態】
成人にアセトアミノフェン400mgを経口単回投与後の最高血漿中濃度は9.0ng/mLであり、投与12時間後には血漿中からほぼ完全に消失していた。
【用法・用量】
通常、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10〜15mgを経口投与する。

◆ 問268

患者が指示どおりに服用した場合、乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量は、保育する幼児における最低用量に対し、最大で何%に達する可能性があるか。最も近い値を1つ選べ。なお、アセトアミノフェンの血漿から乳汁への分布は速やかに平衡状態に達するものとする。
  • 2.8
  • 9.0
  • 25
  • 90
  • 250

◆ 問269


◆ 問268

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


◉幼児の最低用量を求める
 「通常、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10〜15mgを経口投与すること」、「1歳0ヶ月の幼児の体重が9kgであること」から、幼児の最低用量は10mg/kg/回×9kg=90mg/回となる。

◉乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェンの最大量を求める
「本処方のアセトアミノフェンの1回量が400mgであること」、「成人にアセトアミノフェン400mgを経口単回投与後の最高血漿中濃度は9.0ng/mLであり、投与12時間後には血漿中からほぼ完全に消失すること」、「アセトアミノフェンの乳汁/血漿中薬物濃度比は0.91〜1.4とされていること」から、乳汁におけるアセトアミノフェンの最大濃度は、9.0ng/mL×1.4=12.6ng/mLとなる。これらのことから、乳汁200mL あたりに含まれるアセトアミノフェンの最大量は、12.6ng/mL×200mL=2,520ng=2.52mgとなる。

 上記より、乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量は、保育する幼児における最低用量に対し、最大で2.52mg÷90mg=0.028=2.8%となる。

◆ 問269

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


一般に、相対的乳児薬物摂取量(RID:乳児薬物摂取量(mg/kg/日)/母親の薬物摂取量(mg/kg/日)×100)が10%以下であれば授乳しても問題ないと判断するため、問268より母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳が可能であると判断することができる。