第106回薬剤師国家試験
◆問288-289
72歳女性。読書中に胸部の違和感が出現し、その直後に目の前が真っ暗になり5秒間程度意識を失った。翌日も、30分に1回くらいの間隔で同様の数秒間の失神発作を繰り返したため、病院に救急搬送された。搬送時の所見
血圧 136/78 mmHg、心拍数70拍/分、赤血球数458×104/µL、Hb 12.9g/dL、Ht 45%、白血球数 7,600/µL、血小板数16×104/µL、AST 32 IU/L、ALT 26 IU/L、CK(クレアチンキナーゼ)112 IU/L、血清クレアチニン値 0.6 mg/dL、血糖値 98 mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.1mEq/L
意識消失時に心電図モニターに異常波形(下図)を認め、その際脈拍を触知しなかった。非発作時は意識清明で、心音や呼吸音に異常はない。

◆ 問288
◆ 問289
家族から、最近、処方薬が変更になったとの情報を得た。そのため、変更された薬物により意識消失が引き起こされた可能性があると考えた。現在、患者は以下の薬剤を服用している。最も疑わしいのはどれか。1つ選べ。
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シベンゾリン
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カルベジロール
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ワルファリン
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フロセミド
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ランソプラゾール
◆ 問288
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:3
設問の心電図から本患者は、多形性心室頻拍(Torsades pointes:TdP)を発症したと推察される。TdPでは、QRS波がらせん状に周期的に変化し、不規則で一致しない多形性を示す。TdPは、不整脈の中でも心室頻拍に該当し、全身にうまく血液を送り出すことができないため、脳への血液灌流が低下し、脳の虚血状態による失神発作を起こすことがある。
◆ 問289
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1
TdPは、薬剤服用によるQT延長症候群により誘発されることがある。本処方薬の中でQT延長症候群を引き起こしやすい薬物は抗不整脈薬であるシベンゾリンである。シベンゾリンは、K+チャネルを遮断することにより活動電位持続時間と不応期を延長するため、QT延長症候群を引き起こす可能性がある。