第107回薬剤師国家試験

◆ 問199

処方されたコロイド性静脈注射用鉄剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 疎水コロイドを形成する水酸化鉄(III)を糖で安定化させた鉄剤である。
  • 静脈注射後、コロイドはすぐに不安定化し、鉄イオンが遊離する。
  • コロイドを不安定化させないように、希釈する場合はpHの変化に注意する必要がある。
  • 希釈する場合は、イオン強度を上げるために塩化ナトリウム液を加えて5%以上の塩濃度を維持する。

◆ 問199

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


1 正
本剤(含糖酸化鉄注射液)は、糖(ショ糖)を用いて疎水コロイドを形成する水酸化鉄(Ⅲ)を安定化させたコロイド性静脈注射用鉄剤した製剤である。

2 誤
本剤は、静脈注射後、すぐにコロイドが不安定化しないように工夫された製剤であり、コロイドのまま細網内皮系に取り込まれ、徐々に解離してトランスフェリンとなり、ヘモグロビン合成に利用される。

3 正
本剤は、コロイド粒子が安定なpH9.0〜10.0に調整されており、希釈する際にはコロイドを不安定化させないようにpHの変化に注意する必要がある。

4 誤
疎水コロイドは電解質の添加によりイオン強度が増大すると、凝析し不安定となる。そのため、本剤の希釈は10〜20%のブドウ糖注射液による5〜10倍希釈に限定されている。