第107回薬剤師国家試験

◆問250-251

64 歳女性。8年前に朝の手指のこわばり、多関節痛が出現し、近医にて関節リウマチと診断された。メトトレキサート(6mg/週)でコントロールされていたが、1ヶ月前より関節症状が悪化したため入院した。入院時検査では、腫脹関節10ヶ所、圧痛関節6ヶ所、赤血球沈降速度 112 mm/h、CRP 8.5 mg/dLであったことから疾患活動性が高いと判断され、インフリキシマブ(3mg/kg)を併用することになった。なお、体温37.2°C、血圧94/58 mmHg、脈拍数80拍/分、ALT 80 IU/L、AST 88 IU/Lであった。

◆ 問250


◆ 問251

メトトレキサートとインフリキシマブを投与した場合、この患者で期待される効果の機序はどれか。2つ選べ。
  • TNF-αの作用が阻害され、関節滑膜細胞の増殖が抑制される。
  • ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害によりリンパ球の増殖が抑制され、中和抗体の産生が抑制される。
  • シクロオキシゲナーゼの阻害によりプロスタグランジン合成が抑制され、疼痛が緩和される。
  • IL-6受容体が遮断され、破骨細胞の分化が抑制される。
  • 炎症局所のアデノシン受容体が遮断され、炎症反応が抑制される。

◆ 問250

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


1 正しい
軽度肝機能障害(肝機能検査値であるALT、ASTが少し上昇)が認められることから、メトトレキサートの毒性を軽減するために、ホリナートカルシウム錠の投与を検討する必要がある。

2 正しい
抗TNF-αによるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルスの有無を確認する必要がある。

3 正しい
インフリキシマブを投与すると、結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化の恐れがあるため、本剤投与に先立って結核感染の有無を確認する必要がある。

4 誤っている
インフリキシマブ投与によりinfusion reactionが認められた場合は、アドレナリン、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン薬又はアセトアミノフェンを用いる。

5 正しい
咳や喉の痛み等風邪の症状が出た場合は、骨髄抑制による無顆粒球症、汎血球減少症が現れている可能性があるため、直ちに医師、薬剤師に連絡するように説明する。

◆ 問251

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


インフリキシマブ
 TNF-αの作用を阻害し、関節滑膜細胞の増殖を抑制する

メトトレキサート
葉酸の活性化を阻害し、核酸合成を阻害することによりインフリキシマブに対する中和抗体の産生を抑制する