第107回薬剤師国家試験

◆問254-255

45歳男性。体重 45 kg。10年前に全結腸型潰瘍性大腸炎と診断され、寛解・再燃を繰り返した後、メサラジン 1,500 mg/日、アザチオプリン 50 mg/日で寛解維持されていた。2ヶ月前より大腸炎が再燃し、上の処方で効果不十分であったため、以下の処方にて寛解導入することになった。

107回問254-255画像1

◆ 問254


◆ 問255

処方1及び2のいずれかの薬物に期待される効果の機序はどれか。2つ選べ。
  • TNF-αに結合して、TNF-αとその受容体の結合を阻害する。
  • ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害して、サイトカイン受容体を介した細胞内情報伝達を抑制する。
  • ロイコトリエンの産生を阻害して、白血球の組織への浸潤を抑制する。
  • プリン塩基の合成を阻害して、リンパ球の増殖を抑制する。
  • カルシニューリンを阻害して、T細胞におけるIL-2などのサイトカイン産生を抑制する。

◆ 問254

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


1 正
処方1(タクロリムス)はTDM対象薬剤であるため、血中濃度を測定しながら服用量を決定する。

2 正
処方1は、副作用として腎障害を起こしやすいため、腎障害により現れる症状(尿量の減少など)が認められた場合には、薬剤師に相談するように説明する。

3 誤
処方1により高血糖になることがあるため、頻回に臨床検査(血液検査、空腹時血糖、アミラーゼ尿糖など)を行うなど患者の状態を十分に観察する必要がある。

4 誤
処方2(アダリムマブ)は、潰瘍性大腸炎に対して、通常、アダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを2週間に1回、皮下注射する。

5 誤
処方2の薬剤の使用直後に、ふらつきや息苦しさが現れた場合には、過敏反応の可能性があり、時間の経過とともに症状が悪化することがある。

◆ 問255

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


●タクロリムス
イムノフィリンのFKBPに結合し、カルシニューリンを阻害して、T細胞におけるIL-2などのサイトカイン産生を抑制する。

●アダリムマブ
抗TNF-α製剤であり、選択的にTNF−αと結合し、TNF−αとその受容体の結合を阻害する。