第107回薬剤師国家試験

◆問278-279

72歳男性。経口血糖降下薬を用いた治療を受けていたが、健康診断にて腎機能は正常であるが肝機能の異常を指摘され、精査目的で入院となった。病棟担当薬剤師が入院時持参薬の鑑別結果をもとに初回面談の際に指導を行う予定である。

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◆ 問278


◆ 問279

 イオパミドール注射液には以下の3種類のバイアル製剤がある。これら注射剤の粘度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、37°Cにおける水の粘度0.70mPa・sとする。

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  • 製剤Aの動粘度は、製剤Bの動粘度より小さい。
  • 製剤Bの相対粘度は、製剤Cの相対粘度より小さい。
  • 製剤Cの比粘度は、製剤Bの比粘度より小さい。
  • いずれの製剤も、イオン性造影剤に比べて高粘度のため、組織障害性が低減されている。
  • 製剤Cの還元粘度は、製剤Bの還元粘度より小さい。

◆ 問278

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


1 正
本剤(イオパミドール注射液)とメトホルミンを併用すると、メトホルミンの腎排泄が低下し、血中濃度が上昇することによる乳酸アシドーシスを生じることがある。そのため、本画像検査に際しメトホルミンの服用は検査前日から休止する。

2 誤
本画像検査前夜にグリセリン浣腸を使用する必要はない。

3 正
本剤の主成分であるヨウ素は、高いX線吸収能を示すため、腫瘍を明瞭に描出することが可能である。

4 誤
本剤は、副作用として、急性腎不全を起こすことがあるため、腎機能に注意して使用する必要がある。

5 誤
本剤は、副作用として、急性腎不全を起こすことがあるため、強い痒みの有無に関わらず、適切な水分補給を行う必要がある。

◆ 問279

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


動粘度ν:溶液の粘度ηを溶液の密度ρで除したもの

107回問278-279画像1

相対粘度ηrel:溶液の粘度ηを溶媒の粘度η0で除したもの

107回問278-279画像2

比粘度ηsp:溶液の相対粘度ηrelから1を差し引いたもの

ηsprel-1 

A:ηsp=2.14-1=1.14 B:ηsp=6.29-1=5.29 C:ηsp=13-1=12

還元粘度ηred:溶液の比粘度ηspを溶液の濃度Cで除したもの

107回問278-279画像3

1 正

2 正

3 誤
製剤Cの比粘度は、製剤Bの比粘度より大きい。

4 誤
非イオン性造影剤(イオパミドールなど)は、イオン性造影剤に比べ低粘度であり、浸透圧が低いため、高浸透圧に起因する組織傷害が低減されている。

5 誤
製剤Cの還元粘度は、製剤Bの還元粘度より大きい。