第108回薬剤師国家試験
◆ 問112
下図は、ミトコンドリアと、その電子伝達系をつかさどる複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ並びにATP合成酵素を示した概略図である。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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NADH由来の電子は、複合体Ⅰを経由し、ユビキノンへ伝達される。
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H+は、複合体Ⅰ、Ⅱ及びⅣにおいてマトリックスから膜間腔へ汲み出される。
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O2は、複合体Ⅲにおいてシトクロムсから電子を受け取りH2Oとなる。
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ATPは、H+が膜間腔側からマトリックス側へATP合成酵素を通過する際に生成される。
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内膜を通過するH+量は、NADHから電子が供給される場合の方がFADH2からの場合に比べて少ない。
◆ 問112
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、4
正:「NADH由来の電子は、複合体Ⅰを経由し、ユビキノンへ伝達される。」
電子伝達系における複合体Ⅰは、ミトコンドリア内膜に存在する複合体であり、NADHからの電子を受け取りユビキノンに伝達する。
誤:「H+は、複合体Ⅰ、Ⅱ及びⅣにおいてマトリックスから膜間腔へ汲み出される。」
NADHに由来する電子e-がミトコンドリア内膜を流れる際、自由エネルギーが発生する。この自由エネルギーによりH+は、複合体I、Ⅲ及びⅣにおいてマトリックスから膜間腔へ汲み出される。
誤:「O2は、複合体Ⅲにおいてシトクロムсから電子を受け取りH2Oとなる。」
O2は、複合体Ⅳにおいてシトクロムcから電子を受け取りH2Oとなる。複合体Ⅳは、電子を受け取ったシトクロムcと酸素を反応させ水を生成することで、電子伝達系の最終段階に関与する。
正:「ATPは、H+が膜間腔側からマトリックス側へATP合成酵素を通過する際に生成される。」
ミトコンドリア内膜に存在する複合体により膜間腔に汲み出されたH+がATP合成酵素を介してマトリックス側に移行する際、ATPが生成される。
誤:「内膜を通過するH+量は、NADHから電子が供給される場合の方がFADH2からの場合に比べて少ない。」
電子伝達系において、NADH1分子から電子が供給される場合、10分子のH+が膜間腔汲み出され、FADH21分子から電子が供給される場合、6分子のH+が膜間腔汲み出される。そのため、内膜を通過するH+量は、NADHから電子が供給される場合の方がFADH2からの場合に比べて多い。