第108回薬剤師国家試験

◆ 問169

血漿タンパク質と、血漿タンパク質と薬物の結合に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 血漿タンパク質と薬物の結合は、通常、共有結合である。
  • 血漿タンパク質のうち、最も多く存在するのが γ-グロブリンである。
  • 血漿タンパク質のうち、α1-酸性糖タンパク質は多くの酸性薬物と結合する。
  • 血漿アルブミン濃度は肝硬変で低下し、血漿中の薬物の非結合形の割合が増加する。
  • 併用薬により血漿タンパク結合の競合阻害を受けた薬物は、単独投与の場合と比較して組織への分布量が増加する。

◆ 問169

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


誤:[血漿タンパク質と薬物の結合は、通常、共有結合である。]
「共有結合している」とすると、タンパク質と薬物は いったん結合すると、まず離れませんよね。おそらく血中のタンパク質と薬物はくっついたり、状況に応じて離れたり というイメージがあるのではないでしょうか。
このイメージについては、タンパク質と薬物の結合について、単分子の吸着に関するLangmuir式で解析する という基礎知識からも推測できると思われます。すなわち、吸着ではくっついたり離れたりします。このイメージと「共有結合」との間に矛盾を感じるのではないでしょうか。

誤:[血漿タンパク質のうち、最も多く存在するのがγ–グロブリンである。]
これは響きが似ているので、間違いそうだと感じました。血漿タンパク質のうち、最も多く存在するのは「アルブミン」です。γーグロブリンではありません。

誤:[血漿タンパク質のうち、α1–酸性糖タンパク質は多くの酸性薬物と結合する。]
α1–酸性糖タンパク質と結合しやすいのは、塩基性薬物です。「酸性薬物」ではありません。

正:[血漿アルブミン濃度は肝硬変で低下し、血漿中の薬物の非結合形の割合が増加する。]
正:[併用薬により血漿タンパク結合の競合阻害を受けた薬物は、単独投与の場合と比較して組織への分布量が増加する。]
肝臓でアルブミンが合成されるので、肝硬変で肝機能が落ちれば、アルブミン合成減少→血漿アルブミン濃度低下という流れです。そして、結合するタンパク質が減るのだから、非結合率が増加します。
組織へ分布するのは、非結合形です。併用薬により血漿タンパク結合の阻害を受ければ、より組織へ分布します。