第108回薬剤師国家試験

◆ 問172

薬物の腎排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは血中濃度に比例する。
  • サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により増大する。
  • グルコースは、尿中にほとんど排泄されない。
  • ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなる。
  • メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより小さい。

◆ 問172

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


誤:[パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは血中濃度に比例する。]
パラアミノ馬尿酸は糸球体ろ過に加え、能動的分泌によりほぼ排泄されかつ再吸収を受けない という特徴がある物質です。すると、血中濃度がある程度以上高くなると、分泌に関して飽和が見られると考えられます。従って、血中濃度に比例するわけではありません。

誤:[サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により増大する。]
アスコルビン酸とは、ビタミンCです。すっぱいことからわかるように、尿を酸性に傾けます。サリチル酸は、酸性環境下において、より分子形をとります。従って、尿細管からの再吸収が促進されます。その結果、腎排泄、すなわち腎クリアランスは小さくなると考えられます。

正:[グルコースは、尿中にほとんど排泄されない。]
正:[ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなる。]

誤:[メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより小さい。]
メトホルミンの排泄には、尿細管への分泌が大きく寄与することが知られています。
『腎CL=「糸球体ろ過CL」+「分泌CL」-「再吸収CL」』です。クレアチニンクリアランスは、糸球体ろ過CLと対応します。それに加えて分泌CLがメトホルミンでは大きく寄与するので、クレアチニンクリアランス単独よりも、メトホルミンの腎CLは「大きい」と考えられます。