第108回薬剤師国家試験

◆ 問174

薬物動態の非線形性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。
  • 血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。
  • 肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。
  • 小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。
  • 尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。

◆ 問174

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


正:[薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。]
代謝が非線形 → 非線形の代表例として「代謝の飽和」 → 代謝が飽和すると、薬物が分解されない → CLtotal 減少します。また、非線形の結果、逆に薬物の分解が急に促進されれば、CLtotal が増加します。

誤:[血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。]
血漿タンパク結合飽和 → 非結合薬物の割合増加 → 組織への分布促進なので、血中からの薬物除去促進 → 薬物の CLtotal は「上昇」と考えられます。

誤:[肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。]
分布容積は変わらないと考えられます。

誤:[小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。]
小腸上皮での代謝とは、吸収前の薬物の分解といえます。投与量が変化したようなものであると考えれば、それで薬物の CLtotal は変化しないと考えられます。

正:[尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。]
分泌を担うトランスポーターが飽和したのであれば、分泌 CL は低下します。