第108回薬剤師国家試験

◆ 問182

 BCS(Biopharmaceutics classification system)分類とは、薬物を溶解性と膜透過性に基づいて4つに分類したものである。溶解性は低いが膜透過性が高いClass2の薬物Xを含有する経口固形製剤Aについて、以下のデータが得られている。製剤Aにおける吸収改善の機構と最も関連の深いのはどれか。1つ選べ。
 ただし、薬物Xとしての経口投与量は同一とする。
108回問182画像1
  • 塩の形成
  • 無水物化
  • 共結晶化
  • 溶媒和物
  • 固体分散体

◆ 問182

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


誤:[塩の形成]
誤:[無水物化]
誤:[共結晶化]
誤:[溶媒和物]
正:[固体分散体]
問題文及び図から、状況が少しわかりにくい問題であったかもしれません。

・水とかに溶けにくいが、膜透過性は高い薬物Xがある。
・Xを含有するような、経口固形製剤Aがある。という前提です。

図が3つありますが
・粉末X線回析をすると、薬物Xの微粒子と、製剤Aでは全然結果が違う。
・薬物Xの微粒子に対して溶出試験をすれば、薬物濃度は当然、溶解度にだんだん近づいていくが、製剤Aにすると、びっくりの結果で、溶解度をはるかに超えた所まで一時的に溶ける。つまり、過飽和がおきるような製剤。(難溶性の物質に対して、こんな形で製剤技術でスパーンと改善できたら、製剤科学者として、楽しいでしょうね!)。
・単に溶けてるだけじゃなくって、製剤Aで投与すると、薬物Xの微粉末投与するよりも、血中薬物濃度もちゃんと増加することがわかっている。
という図です。

選択肢を見ると
溶かした結果や粉末X線回析しかないので、塩の形成を行ったり、無水物化したり、溶媒和物を作ったりしたかどうか、というのはわかりません。従って、共結晶化か固体分散体と絞れます。
さらに、共結晶化であれば、粉末X線回折測定の結果は、シャープなピークが見られるはずです。製剤Aは回折強度がなだらかなピークをしていることから、結晶ではないと考えられます。