第108回薬剤師国家試験

◆ 問189

ウイルス性肝炎に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 急性期に黄疸が認められることはまれである。
  • A型肝炎ウイルスは経口感染する。
  • B型肝炎ワクチン接種により、HBs抗体検査は陽性を示す。
  • C型肝炎は、ワクチン接種により予防することができる。
  • C型肝炎よりもA型肝炎の方が肝硬変に進展しやすい。

◆ 問189

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルスが肝細胞に侵入し、ウイルスを排除する自己免疫反応によって、肝細胞が破壊されて起こる疾患です。

誤:[急性期に黄疸が認められることはまれである。]
急性肝炎では、黄疸・褐色尿・食欲不振・全身倦怠感・吐き気などの症状が出現します。

正:[A型肝炎ウイルスは経口感染する。]
A型肝炎ウイルスは経口感染です。
ウイルス遺伝子感染経路
A型肝炎ウイルスRNA経口
B型肝炎ウイルスDNA血液
C型肝炎ウイルスRNA血液


正:[B型肝炎ワクチン接種により、HBs抗体検査は陽性を示す。]
B型肝炎ワクチン接種により、HBs抗体検査は陽性を示します。
HBs抗原B型肝炎ウイルスの蛋白質。HBs抗原が陽性の場合、B型肝炎ウイルスに感染していることを示しています。
HBs抗体B型肝炎ウイルスに対する抗体。HBs抗体が陽性の場合、B型肝炎ウイルスに感染経験はあるが、現在は治癒。(B型肝炎ウイルスに対して免疫があることを示しています。)

※B型肝炎ワクチンを接種した人も、ワクチンの効果が続いていれば陽性となります。

HBe抗原HBe抗原が陽性の場合、B型肝炎ウイルスの活動が活発であることを示しています。


誤:[C型肝炎は、ワクチン接種により予防することができる。]
C型肝炎ワクチンは、現時点では、研究中のため臨床で使用されていません。
B型肝炎ワクチンは、ビームゲン®・ヘプタバックス−II®があります。

誤:[C型肝炎よりもA型肝炎の方が肝硬変に進展しやすい。]
慢性化:C型 > A型。
ウイルス感染後の経過
A型肝炎ウイルス慢性化することなく、ほとんどが自然治癒
B型肝炎ウイルス10~20%程度がキャリアになり慢性肝炎→肝硬変→肝がん
C型肝炎ウイルス70%程度がキャリアになり慢性肝炎→肝硬変→肝がん