第108回薬剤師国家試験

◆ 問342

48歳女性。以前から腹部膨満感や下腹部の痛みを自覚していた。病院を受診したところ卵巣がんが判明し、StageⅢと診断され手術が施行された。術後化学療法としてパクリタキセル、カルボプラチン(TC療法)とベバシズマブによる併用療法が開始となった。薬剤師が行う薬学的関与として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 治療中は、定期的な尿検査によって尿タンパクの有無を確認する。
  • パクリタキセル投与に伴い、予防的な低カリウム血症対策を実施するように医師に提案する。
  • 血圧が上昇したときは、ベバシズマブの中止を医師に提案する。
  • 腎障害予防策として、カルボプラチン投与前後に十分な補液と利尿剤の投与が実施されているかを確認する。
  • カルボプラチンの投与量の監査は、腎機能を考慮して行う。

◆ 問342

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


正:[治療中は、定期的な尿検査によって尿タンパクの有無を確認する。]
 ベバシズマブを投与することにより、タンパク尿が現れることがあるので、定期的な尿検査によって尿タンパクの有無を確認する必要がある。

誤:[パクリタキセル投与に伴い、予防的な低カリウム血症対策を実施するように医師に提案する。]
 パクリタキセル投与に伴い、予防的な低カリウム血症対策を実施する必要はない。

誤:[血圧が上昇したときは、ベバシズマブの中止を医師に提案する。]
 ベバシズマブを投与することにより、高血圧が現れることがあるため、投与期間中は血圧を定期的に測定し、適切な処置を行う必要がある。血圧が軽度に上昇した場合は、降圧薬(ACE阻害薬、ARBなど)を投与するなどの処置を行い、高血圧脳症や高血圧性クリーゼなどの副作用が生じた場合は、投与中止するなどの処置が必要となる。よって、血圧が上昇しただけではベバシズマブの中止を医師に提案することは不適切である。

誤:[腎障害予防策として、カルボプラチン投与前後に十分な補液と利尿剤の投与が実施されているかを確認する。]
 カルボプラチンを投与するにあたり投与前後に十分な補液と利尿剤を投与する必要はない。なお、腎障害予防策として、投与前後に十分な補液と利尿剤の投与が実施されるのはシスプラチンの場合である。

正:[カルボプラチンの投与量の監査は、腎機能を考慮して行う。]
 カルボプラチンの投与量は、カルバートの式(投与量=目標AUC×(GFR+25))を用いて算出する。GFR(糸球体ろ過量)は腎機能の指標であることから、カルボプラチンを投与する際には、腎機能を考慮する必要がある。