第108回薬剤師国家試験

◆ 問344

51歳男性。身長170cm、体重57kg。健康診断の胸部X線検査にて異常が見られたため、胸部CTなど精査を行ったところ、EGFR遺伝子変異陽性、進行・切除不能(StageⅣ)の非小細胞肺癌と診断され、以下の処方で治療を開始することとなった。
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薬剤師が本剤の服用開始にあたり、患者に指導すべき内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
  • 食事の影響を回避するため、本剤服用後1時間は食事をしない。
  • 副作用発現の可能性が高まるため、グレープフルーツを摂取しない。
  • 咳嗽、発熱などが生じた場合は、すぐに医師に連絡する。
  • 下痢が発現した際には、止瀉薬を直ちに服用する。
  • 爪囲炎やざ瘡様皮疹対策として、保湿剤を塗布する。

◆ 問344

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


適切である:[食事の影響を回避するため、本剤服用後1時間は食事をしない。]
 本剤を食後に投与すると、AUC及びCmaxが低下するため、本剤服用後1時間は食事をしないよう指導する必要がある。

適切でない:[副作用発現の可能性が高まるため、グレープフルーツを摂取しない。]
 本剤とグレープフルーツとの相互作用は報告されていないため、グレープフルーツを摂取しないように指導することは適切ではない。

適切である:[咳嗽、発熱などが生じた場合は、すぐに医師に連絡する。]
 本剤は重大な副作用として間質性肺疾患を起こすことがあるため、咳嗽、発熱などが生じた場合は、すぐに医師に連絡するように指導する必要がある。

適切である:[下痢が発現した際には、止瀉薬を直ちに服用する。]
 本剤投与により下痢が認められた場合には、直ちに止瀉薬を服用する必要がある。ただし、止瀉薬を継続して投与しても症状が改善しない場合には、本剤の投与中断や減量を行うことが推奨される。

適切である:[爪囲炎やざ瘡様皮疹対策として、保湿剤を塗布する。 ]
 本剤投与によりざ瘡様皮疹や爪周炎などを生じることがあるため、その対策として副腎皮質ステロイド性外用剤、保湿剤(ヘパリン類似物質)を塗布する。