第108回薬剤師国家試験

◆ 問99

下図は液体クロマトグラフィーにより得られた成分Aと成分Bのクロマトグラム(模式図)で、ピークAは成分A、ピークBは成分B由来である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
108回問99画像1
t0:移動相がカラムを通過する時間(溶媒先端)、tRA:ピークAの保持時間、
tRB:ピークBの保持時間、W:ピークAのピーク幅、W:ピークBのピーク幅
  • ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kは成分Bの質量分布比kのα倍である。
  • このカラムの理論段数は、108回問99画像1で与えられる。
  • WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
  • ピークAとピークBの分離度sは、s>1.5である。
  • sを大きくするには理論段高さが小さいカラムを選択する。

◆ 問99

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


誤:「ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kは成分Bの質量分布比kのα倍である。」
分離係数αは2つのピークの保持時間の関係を示します。
一方で、質量分布比kはサンプルが移動相にいる時間と固定相にいる時間の相対比です。
成分Aの質量分布比を基準にα=2、α=3を考えると、それぞれkk/2、kk/3と分かります。
つまり、1/α倍になっており、選択肢は誤りです。


誤:「このカラムの理論段数は、108回問99画像1で与えられる。」
与えられている式は分離度であり、理論段数ではありません。理論段数は以下の式で表されます。
108回問99画像1


誤:「WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。」
分離係数αは2つのピークの保持時間の関係を示すものなので、ピーク幅には依存しません。


正:「ピークAとピークBの分離度sは、s>1.5である。」
分離度sは、ピークの保持時間とピーク幅との関係を示すものです。
設問中のピークAとピークBは完全に分離しているため、s>1.5であり、正しい選択肢です。


正:「sを大きくするには理論段高さが小さいカラムを選択する。」
理論段高さはカラムの長さを理論段数で割ったものなので、理論段高さの値が小さいほど分離度sは高くなります。よってこの選択肢は正しいです。