第109回薬剤師国家試験

◆ 問108

微生物由来の化合物A~Dに関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。
109回問108画像1
  • Aは抗菌薬として利用されている。
  • Bのアグリコンは酢酸-マロン酸経路により生合成される。
  • Cはカルシウムイオンと難溶性のキレートを形成する。
  • Dはマクロライド系化合物と呼ばれる。
  • A~Dは、真菌から単離された化合物である。

◆ 問108

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


109回問108画像1


[Aは抗菌薬として利用されている。]
誤りです。
A(タクロリムス)は免疫抑制剤として利用されています。大環状ラクトンに糖が結合したものが抗菌薬として利用されるのに対し、大環状ラクトンに糖が結合していないタクロリムスは免疫抑制剤、エベロリムスは抗腫瘍抗生物質として利用されます。


[Bのアグリコンは酢酸-マロン酸経路により生合成される。]
正しいです。
B(エリスロマイシン)を含むマクロライド系抗菌薬のアグリコンは酢酸-マロン酸経路により生合成されます。


[Cはカルシウムイオンと難溶性のキレートを形成する。]
正しいです。
C(テトラサイクリン)を含むテトラサイクリン系の抗菌薬はヒドロキシ基やアミノ基を持つため、カルシウムイオン等の金属イオンと難溶性のキレートを形成します。このため、テトラサイクリン系抗生物質を歯の石灰化期に投与すると、歯牙着色を起こすことが知られています。


[Dはマクロライド系化合物と呼ばれる。]
誤りです。
D(バンコマイシン)はグリコペプチド系抗生物質と呼ばれます。直鎖状のペプチド鎖に糖が2分子連結した構造を特徴とします。


[A~Dは、真菌から単離された化合物である。]
誤りです。
A~Dは全て放線菌(細菌)から単離された化合物です。