第109回薬剤師国家試験

◆ 問132

化合物 A~Eの代謝と毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
109回問132画像1
  • 化合物Aは、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。
  • 化合物Bは、シトクロムP450によって酸化され、生じたエポキシ体がメトへモグロビン血症を引き起こす。
  • 化合物Cは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する。
  • 化合物Dは、シトクロムP450によって速やかに水酸化され、TCA回路のアコニターゼを阻害する。
  • 化合物は、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。

◆ 問132

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


[化合物Aは、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。]
正解です。
化合物Aはメタノールの構造でございます。メタノールは、生体内でアルコール脱水素酵素によりホルムアルデヒドに、次いでアルデヒド脱水素酵素によりギ酸に酸化され、視覚障害を引き起こします。



[化合物Bは、シトクロムP450によって酸化され、生じたエポキシ体がメトへモグロビン血症を引き起こす。]
誤りです。
化合物Bはメラミンの構造でございます。メラミンは、腎臓で不溶性の結晶となり、腎結石を引き起こします。



[化合物Cは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する。]
正解です。
化合物Cはジメチルニトロソアミンの構造でございます。ジメチルニトロソアミンは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN−脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成し、発がんイニシエーションを引き起こします。



[化合物Dは、シトクロムP450によって速やかに水酸化され、TCA回路のアコニターゼを阻害する。]
誤りです。
化合物Dはペルフルオロオクタン酸(PFOA)の構造でございます。PFOAは、化審法の第一種特定化学物質に指定されており、難分解性、高蓄積性を有するなどの特徴がございます。そのため、生体内で代謝されにくく、咳や腹痛、嘔吐などを引き起こします。なお、TCA回路のアコニターゼを阻害する化合物は、モノフルオロ酢酸ナトリウムなどでございます。



[化合物は、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。]
誤りです。
化合物Eはグリホサートの構造でございます。グリホサートは、含リンアミノ酸系除草剤であり、アミノ酸の生合成を阻害することで除草作用を示します。なお、フェニトロチオンなどの有機リン系農薬は、シトクロムP450による脱硫反応により活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害します。