第109回薬剤師国家試験

◆ 問137

下水処理に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 標準活性汚泥法の曝気槽では、主に嫌気性細菌が有機物質を分解している。
  • 標準活性汚泥法の最終沈殿池では、活性汚泥(フロック)の沈降性が低下することにより、有機物質の除去効率が上がる。
  • 標準活性汚泥法において、最終沈殿池の汚泥の一部は、返送汚泥として曝気槽に戻され再利用されている。
  • 標準活性汚泥法に比べて嫌気・無酸素・好気法は、リン及び窒素の除去効率が高い。
  • 嫌気無酸素・好気法において、リン蓄積菌は嫌気槽でリンを取り込み、好気槽でリンを放出している。

◆ 問137

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


正解は[標準活性汚泥法において、最終沈殿池の汚泥の一部は、返送汚泥として曝気槽に戻され再利用されている。]と[標準活性汚泥法に比べて嫌気・無酸素・好気法は、リン及び窒素の除去効率が高い。]です。

[標準活性汚泥法の曝気槽では、主に嫌気性細菌が有機物質を分解している。]
誤りです。標準活性汚泥法の曝気槽では、主に好気性細菌が有機物質を分解しています。嫌気性細菌は曝気槽ではなく、嫌気槽で活動します。

[標準活性汚泥法の最終沈殿池では、活性汚泥(フロック)の沈降性が低下することにより、有機物質の除去効率が上がる。]
誤りです。活性汚泥(フロック)の沈降性が低下すると、逆に有機物質の除去効率は低下します。沈降性が良好でなければ、汚泥が処理水中に流出するリスクがあります。

[標準活性汚泥法において、最終沈殿池の汚泥の一部は、返送汚泥として曝気槽に戻され再利用されている。]
正しいです。標準活性汚泥法では、最終沈殿池で沈んだ汚泥の一部は返送汚泥として曝気槽に戻され、微生物が再び有機物の分解に利用されます。

[標準活性汚泥法に比べて嫌気・無酸素・好気法は、リン及び窒素の除去効率が高い。]
正しいです。嫌気・無酸素・好気法は、標準活性汚泥法に比べて、リン及び窒素の除去効率が高いです。これは、異なる環境条件下で特定の微生物活動を促進するためです。

[嫌気無酸素・好気法において、リン蓄積菌は嫌気槽でリンを取り込み、好気槽でリンを放出している。]
誤りです。リン蓄積菌は嫌気槽でリンを放出し、好気槽でリンを取り込みます。このプロセスを通じて、リンが活性汚泥に蓄積され、最終的に除去されます。

覚えておくべき用語:
好気性細菌: 酸素を利用して有機物を分解する細菌。
嫌気性細菌: 酸素のない環境で有機物を分解する細菌。
返送汚泥: 最終沈殿池で沈んだ汚泥の一部を曝気槽に戻すこと。
リン蓄積菌: リンを体内に蓄積する特定の微生物。
沈降性: 汚泥がどれだけよく沈むかを示す性質。良好な沈降性は処理効率を高めます。